Reef工房室


超小型サーモクーラー(ペルチェ素子式)



プロローグ

え〜・・・、かれこれ水槽の無い私ではありますが、現在は気休め程度にヤドカリ用プラケ水槽を満喫しております。
サイズは20x20x20cmなので、8L(正味6L)程度の水量しかありませんが、一応「ナチュラル」です。濾過はありません。
照明についても本来ならばメタハラといきたいところですが、きっと天然温泉になっちゃうでしょうから、ここはグッと我慢して蛍光灯をチョイス。 とは言え、当時は業界に旋風を巻き起こしたと言われる(?)スポットミニ『閃光』で太陽光を再現します。

さて、そんなこんなで、これを今年(2005/4末)立ち上げ、かれこれ3ヶ月が経過しました。すこぶる順調です。 たまの餌やりによって砂の層では脱窒による窒素泡が発生しますが、しばらく餌を忘れていると、これも消えて無くなります。
ホビー用の硝酸試薬による測定では、大体いつも0〜10ppmのようです(実際には色が着かないので極めて0に近い)。
時折クラゲが湧いたり、見知らぬ海藻が生えたりしつつ、何となく海が再現されている気がしています。
換水はこれまでに大きくは3回程度、うち2回は近所から適当に汲んできた天然海水(海水浴場)、残り1回は人工海水によるものです(つい先日3年ぶりに作りました)。 あとはたまに蒸発分の真水補給を水道水そのままコップで足してます(汗)

そうです。人にはあれやこれや細かく言う癖に、自分では全然アバウトな管理をしているのです(汗)
ま、半分遊びのような水槽なので、ヤドカリには十分かと・・・。

しかし、ここに来て重大な問題が発生しました。
それは・・・夏場の高水温!
ただでさえ空調の無い部屋で、しかも閃光を焚いてるもんですから、そうね、室温27℃でも水槽は軽く30℃オーバーします。
いくらヤドカリ専用とは言え、こんなんで良いのか?室温がもっと上がったら水槽はどうなるのか?
そんな事を考えていたら、ついに重い腰が上がりました。

「クーラー作るべ!」

実は、かなり以前から構想はありました。既に分解された車載用温冷蔵庫(\6,000程度)からペルチェ素子は抽出済みです。
だけどこれをどうやって製品にするか・・・。ずっと悩んでいました。構造についても回路についても・・・。
しかし、「いずれやろう」と思っていてもラチが空かないので、とりあえずパーツをかき集めてみました。

[プチサーモクーラー「小雪」]
そうして完成したのが、このプチサーモクーラー「小雪」です!

どうでしょう?そそられましたか?
水槽用クーラーとしては世界最小最軽量*のサーモクーラーで、寸法も80x80x110mm(突起含まず)しかありません。
但し能力の方は・・・ま、最大10Lくらいかな( /_ _)/ドテッ
能力試験では、10Lのバケツの水を外気温マイナス4℃前後まで下げる事が出来ました。
と言う事は、20x20x20cmの水槽ならまあまあ余裕で冷やせると言う事になるでしょう( ̄ー ̄)

* 当社比(笑)


構造と原理

[構造図]
今回は冷却ソースにペルチェ素子を使用し、これの発熱部は市販のCPUクーラー(ヒートシンク+ファン)にて放熱します。
またペルチェ素子の吸熱部にはアルミダイキャストボックスを密着させ、これの内部をコーキングして海水を循環させます。
電源は、市販の安定化電源といきたかったのですが、でかいし格好悪いので、ここはスマートにACアダプターをチョイス。
温度コントロール部には、市販のもので超小型モジュールを見つけたので、これを改造して使用しました。

動作の流れは、まずIN側へ流れ込む海水温が温調基盤でセットした温度を超えると、ペルチェ素子へ通電させるためのリレー回路がオンとなり、ペルチェ素子の両面に温度差が発生します。 この間、放熱用ファンとヒートシンクによりペルチェ素子の発熱部は常時放熱されます。 また、ペルチェ素子の吸熱部に配置した冷却ボックスがどんどん冷却され、中を循環する海水の温度を下げていきます。 この繰り返しにより水槽の水温が下がっていき、いずれ設定温度を下回ればリレー回路がオフになり、ペルチェ素子の通電が停止します。 但しこの間も放熱ファンは回りっぱなしなので、ペルチェ素子は引き続き放熱され、しばらくすると冷却効果によりクーラー自体がラジエーター機能として働き、 単にクーラーがオフとなる場合と比較して、若干の水温維持が期待出来ます(?)。

[回路図]
左に全体の回路図を用意しました。細かい突っ込みは無しでお願いします(汗) 大まかに4部構成に分かれています。 まず電源スイッチ(SW)をオンにすると、電流は5Aヒューズ(FUSE)を通って各回路へ流れます。 1つ目は、定電流ダイオード(CRD)を通って発光ダイオード(LED)へ電流が流れます。 2つ目は、ヒートシンクに設置された空冷用ファン(FM)へ流れます。 3つ目は、ペルチェ素子(Peltier)とリレー(RL)の回路に電圧が掛かりますが、リレーがオフの段階では電流はまだ流れません。 4つ目は、5V三端子レギュレーター(78L05)のINにDC12Vが掛かり、OUTからDC5Vが出力され、基盤に供給されます。 基盤では設定温度に応じて必要時にはリレーをオンにします。 もしリレーがオンになれば、3つ目の回路によりペルチェ素子に電流が流れ、熱交換が行われます。 また、リレーに並列に挿入してあるダイオード(D)は、リレーオフ時のサージを押さえるためのものです(逆起電力の吸収用)。

ちなみに、基盤の改造内容には触れません(汗)。あくまでも素人の回路設計なので、それでも良ければ自己責任に於いてメールにてお問い合せください(汗)


用意するもの

総制作費は、約\17,000程度!(僕は\8,000程度)
但し、別途循環用にポンプが必要です。(僕はRio50を使いました。\1,200くらいかな?)

ヒートシンクは昔使っていたCPU(アスロン)用のものです。 これ、めっちゃ冷えるんです。ファンの向きは吸い出しで。 動作中ヒートシンクの横に触れてもぬるい程度です。

温調基盤は共立電子から販売されているノートPC用ファンコントロール基盤ですが、回路変更が必要です。

使用工具:
電動ドリル、各種ドリル刃、ステップ刃、1/4PTタップ、その他普通の工具等...
パネル用のアルミ板はハサミでチョキチョキ(笑)

ペルチェ素子(TEC1-12705/15V/5.7A/40×40mm)×1
\2,000(\0)
ヒートシンク(ALPHA/PAL8045T/80×80×50mm)×1
\5,000(\0)
8cm/12Vファン(適当/80×80×25mm)×1
\1,000(\0)
アルミダイキャストボックス(TAKACHI/TD5-8-3B/55×30×80mm)×1
\1,000
ジョイント(AP-32/外径10mm/ネジ山[1/4PT])×2
\700
シリコンチューブ(内径7mm)×3M
\1,000
アルミ板(株リード/AL-H/1.0t×150×120mm)×1
\200
電源スイッチ(MS600KB2P/3A*1)×1
\100
ミゼットヒューズホルダ+5Aヒューズ×1
\100
リレー(G6B1114PDC5V/5A)×1
\350
レギュレーターIC(78L05/5V)×1
\100
DCジャック(MJ-11/2A*2)×1
\100
LED+定電流ダイオード×1
\200
ACアダプター(秋月電子/STD-1205/12V5A)×1
\2,500
温調基盤(共立電子/FAN-SW5)×1
\1,000
デジタル温度計(共立電子/ETM2000)×1
\700
その他金物(ネジ、サポート、導線)×1
適宜

* 手元に余っていたものは\0表記 *1) 本当は5A定格が必要です *2) 5A定格が欲しいのに見つからない...


制作手順

熱交換周り

[作業1]
これがペルチェ素子です。 引っ越して間もない頃、冷蔵庫替わりに使用していた車載用温冷蔵庫から抽出したものです。 型番は、TEC1-12705と印刷されています。 調べてみたら、以下のスペックでした。

最大電流Imax(A) Th=30℃ 寸法 重量W(g)
最大温度差ΔTmax(℃)Qθ=0w 最大電圧Vmax(V) 最大吸熱量Qmax(W)(ΔT=0℃) 長さL(mm) W(mm) 厚みH(mm)
5.7 66 15.00 50.00 40 40 4.0 24.00

ちなみに、このペルチェにACアダプターのDC12Vを加えると、安定時で約4A流れてますので、このペルチェ自体の最大能力から見て約7割での運転になります。 効率的にもちょうどこれくらいで良いのでわないだろうか、と考えています。

[作業2]
こちらがヒートシンク。
ALPHA社から販売されていたPAL8045って奴。今もあるのかな?
下手なヒートシンク使うより、断然安心の冷却性能を持っています。
当時のアスロン(CPU)使いには御用達の逸品でした。
ヒートシンク自体はアルミのようですが、CPU密着部には銅が埋め込まれています。
寸法は、W80×H80×D50mmです。8cmファンとピッタリサイズです。

[作業3]
まず、ペルチェ素子をヒートシンクに当て、周りを断熱シートで囲みます。(スポンジテープ等)
ペルチェ素子とヒートシンクの間にはシリコングリスを満遍なく塗布しておきます。
また、冷却ボックスとの固定用に、ヒートシンクには予めサポート(SB-330)を4ヶ取り付けておきます。

[作業4] [作業5]
次に、冷却ボックスを組み立てます。
まず、ボックス上部にジョイント穴を2ヶ開け、タップでネジを切ります。
で、ジョイントのネジ山に少量のシリコンを塗布し、それぞれ堅く締め込みます。
次に中央の写真のように、念のため内部をシリコンで薄くコーキングしておきます。ジョイント周りも念入りに。
(一応元々黒い塗装がしてありますが、劣化によりサビが出るとまずいし、アルミは水に溶けやすいらしいし)
丸一日程度、十分にシリコンを乾燥させ、最後に蓋の周囲に再度シリコンを塗布し、綺麗に合わせネジで固定します。
この後更に丸一日乾燥させ、最後に水漏れのチェックをして、冷却ボックスは完成です。
勿論、これをあとでペルチェ素子に押し当てて金具で固定するわけですが、その際には当然接着面にはシリコングリスを塗布しておきます。

電気回路周り

[作業6]
こちらはACアダプター。秋月の12V/5A仕様です。
一般的にこんな大容量のACアダプターは少ないですが、さすが秋月、ちゃんとありますね。
しかしペルチェ素子にはかなり電流が流れるので、これでも結構ギリギリです。
もし、見栄えとかスペースとかあまり気にしないなら、普通に安定化電源を利用しても良いでしょう

[作業7]
こちらは共立電子から出ているノートPC用ファンコントロール基盤です。
寸法は13×40mmのミニミニサイズ。しかもこの寸法、今回のクーラー上部にピッタリフィット!
但し、このままの仕様では温度調整範囲が28〜70℃で、しかも仮に28℃に設定したとしても、回路オン後の復帰ヒステリシスは20℃なので使い物になりません。なので回路変更が必要です。
僕は回路設計が出来ないので適当にフィーリングでやりましたが(汗)、最終的には20〜30℃の範囲をカバーして、ヒステリシスを±2℃程度に納めました。 この辺は詳しい方ならもっと上手に変更されるのでしょうけど。。。アドバイス求む(汗)

[作業8]
で、これが変更後の様子。(厳密にはこの後更に変更が加わってます) まず、元々この基盤はUSB仕様なので、動作電源にDC5Vが必要です。しかし用意した電源はDC12VのACアダプターですから、これを5Vへ落とすために基盤上に78L05のレギュレーターICを追加しています。
で、この基盤は元々オン時にファンを回すだけの容量しか無いので、このオン信号はリレー駆動用に回し、そのリレー接点側にACアダプターからの大容量12Vを繋ぎ、ペルチェ素子へ与えるようにします。
あと、これが僕の難関でしたが、サーミスタの抵抗値変化を拾う検知部の各抵抗のいくつかの変更が必要になります。これについては詳細は割愛します。

[作業9]
こちらは主電源通電確認用に用意したLEDです。
12Vで直接通電させられるように、定電流ダイオードを直列に接続しています。
それぞれの仕様は、パーツ屋のお兄さんに聞けば適当に見繕ってくれるでしょう。

[作業10]
その他、ミゼットヒューズ用ホルダ、DCジャック、5Vリレー、電源用スイッチです。
いずれも最大定格で5Aをカバーするものを選択する必要があります。
(容量が低いと熱でとろけちゃいます)
且つ、クーラー完成品内部への搭載スペースが全く無いので、なるべく小型のものを探しました。
実は電源スイッチとDCジャックが容量足りないのよね・・・最大3Aと2A(滝汗)
いずれ焼けちゃうかしら・・・。
皆さんは5A対応品をご用意くださいませ。スペース的には何とか辛うじて収納可能なはずです。

[作業11]
操作パネルの裏側です。
ここは殆どのスペースが冷却ボックスに占領されるので、実際パーツを収納する余地が無いです。 よって、冷却ボックスはギリギリ右側(正面)へ寄せて、左側になるべく多くのスペースを確保します。 これでW15×H80×D40mm程度のスペースが確保出来ますので、そこへ全て詰め込みます。
写真は、リード線の♀コネクタが付いた方はペルチェ素子用、♂コネクタの方はファン用です。 黒い筒はヒューズホルダ、右下は電源スイッチとDCジャック、その上がリレー、と言う感じです。 ちなみにパネルに使用したアルミ板は1mm厚のため、補強のステン金具1mm厚を追加してます。

[作業12]
念のため、パネルの加工寸法です。 必要なアルミ板のサイズは横150mm、縦120mmですが、株式会社リードから、なんとこのため(笑)の同サイズのアルミ板が出ています。AL-Hと言う品番のものです。 後は、左の図を参考に裁断して曲げ加工すれば完成です。
各パーツ固定用の穴開け位置の決定にはかなり苦労します。なんせスペースが限られているので、全てのパーツを干渉せずに収容するには、事前にボール紙か何かで試作してみると良いでしょう。 a×4がパネル自体の固定&冷却ボックス固定用、bがLED、cが電源スイッチ、d×2が温調基盤を載せるL型金具固定ネジ用、eがアース端子用、fがDCジャック用の穴です。 温調基盤を載せるL型棚金具は裁断で余ったアルミ板で適当に作ります。
また、イラスト上での各穴の位置関係は、一応現物に基づいて配置しています。

[作業13]
温度検出用のセンサー(サーミスタ)は、基板用と温度計用の2ヶ共、IN側に割り込ませたアクリル管に固定してあります。
このセンサー部Assyの制作方法は、シリコングリスを塗布したセンサー2ヶをアクリル管の周囲に貼り付け、更に密着するように熱収縮チューブで二重に締め付けています。 更にその周囲を断熱材(スポンジ1mm厚の両面テープの片面にナイロンを貼ったもの)で貼り付け覆っています。これでほぼ上手く水温が拾えます。

完成!

[完成品一式] [作業14]
仕上げに、デジタル温度計の本体を適当にパネル前面に貼り付けて完成です。

あ、そう言えば製品裏側にはちゃんとゴム脚を4点取り付け済みです。 これ付けないと、底面部のヒートシンクが床で塞がっちゃいますから、適当な脚を付けましょう。


エピローグ

バッチリ冷えてますが、中途半端に室温が快適な状態だと、下手にペルチェが順調にオンオフするため、そのたびにヒステリシスの2℃が影響し、 動作温度を25℃当たりに設定している場合だと水温が23〜25℃を行ったり来たりしてます(汗)。 これがもし室温が高く30℃前後くらいあれば、大抵クーラーが入りっぱなし(外気温マイナス4℃の性能ゆえ)になるので、常時25℃前後が維持されています。

仕様

品名プチサーモクーラー「小雪」
分類超小型サーモクーラー
エンジンペルチェ素子
冷却能力外気温マイナス4℃前後
設定温度約20〜30℃を自由に設定(ボリューム無段階調節)
適合水槽20×20×20mmキューブ水槽
消費電力ペルチェ動作時:約48W(4A)ペルチェ停止時:約2.4W(0.2A)
適合ポンプRio50〜Rio90(?)
寸法W80×H80×D110mm(突起含まず)
重量1kgあるか無いか
他の機能電源スイッチ、電源ランプ(緑)、動作ランプ(赤)、水温モニター(IN)等

このページを参考に制作される自作品については、全て自己責任でお願い致しますm(_*_)m

制作代行は一切承っておりませんm(_*_)m

量産・販売の予定も現在のところありませんm(_*_)m


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