海を創るには



病気の基礎知識


病気と言うのは誰でもイヤなものですが、生き物を飼育している以上、1度や2度は経験するものです。 特に相手が水生生物となると対処も大変難しく、処置が遅れるとあっという間に広がってしまうと言う事態も招きかねません。 かと言って、対処が必ずしも報われるとも限らないのが辛いところ・・・。 ですから、病気の治療法を拾得する事も大切な事ではありますが、何よりも病気自体を出さないように考えていく姿勢の方がより必要に思います。

勿論、治療を施して治してあげようとする姿勢もとても素晴らしい事ですし、それによって彼らが救われるなら大変喜ばしい事だと思います。 したがってここでは、あくまで日頃から注意と対策はしていたものの、「万が一病気になってしまったら」と言う時のために、少しだけ病気の治療法に触れてみたいと思います。

一口に「病気」と言っても、その症状や形は様々です。 同じような病気でもそれに掛かる生体の種類や大きさ、性質によっても発症の仕方や症状の出方、治り方や細かな治療方法まで千差万別だと思います。 せめて元々が丈夫な生体や大型の生体であれば、万が一病気が発症しても体力がある分、治療の内容や要する時間にも耐えうるでしょう。 しかし、元々弱い生体や小さな体のものは、まず治療は困難と思ってください。 小型の種の生体の多くは、食が細い分治療期間中の栄養摂取が出来ず、完治までの期間体力が続かないか、第一小さな体への治療となれば物理的にも困難である事は言うまでもありません。 とは言え、簡単に諦められる訳があるはずも無く、とりあえず負担を掛けないように慎重に処置を施すように努めましょう。



魚の病気

白点病(クリプトカリオン繊毛虫の寄生)

主な症状

一番お目に掛かる事が多い病気でしょう。知らない人が見ても「白点病」と命名出来るであろう、非常に判り易い症状です。 魚の反応として、大抵の場合は患部を岩に擦りつけたり、泳いでいてもモゾモゾします。 気をつけたいのは、これによって出来た傷口から別の病気に感染する恐れもあると言う事です。 照明を消した夜間に爆発的に広がるのも特徴の一つです。

主な予防法

購入後間もない個体が発症しやすいようです。理由は環境が変わって体力が落ちた事が原因。 「白点病を水槽に持ち込む」と表現する事もありますが、大抵の場合、水槽内には元々原虫は潜んでいますから、弱った個体に「隙あり」と飛びついただけの事です。 その他、水温差の激しい時期にも体力の落ちた個体は比較的発症し易いようなので、この時期はヒーターやクーラーなど調整を厳しくチェックし、水温の安定を心掛けましょう。

主な治療法

昔から硫酸銅治療が一般的ですが、くれぐれも魚を硫酸銅漬けにしないよう気を付けてください。 あくまでも体に寄生中の白点虫を退治するのではなく、白点虫が魚体から離れて自由浮遊期に移った際のトラップと考えてください。 治療中は比較的高めの水温にて原虫の剥離を早く促す事が出来ます。 また、照明を落とした途端にブワっと広がる恐れがあるので、弱いながらも明かりを灯しておくのも一つの方法です。 硫酸銅や銅イオン等に関する使用方法は割愛します。 その他、ヒコサン治療薬などもあります。グリーンFなども予防薬として効果があるようです。


リンフォシス病(ウィルス感染症)

主な症状

初期の段階なら、ヒレやエラの先など、比較的傷の出来やすい部分を中心に、白い綿のような付着物が目立つようになります。これが進行すると、カリフラワーのような瘤に成長します。 魚も特に痛がる様子もなく普通に生活していますので、初期の段階なら慌てて治療をおこなう必要も無いでしょう。

主な予防法

魚を扱う際に傷を作らない事です。または水槽内のケンカに注意しましょう。傷口から発症します。 ホンソメワケベラを混泳させている水槽なら、初期のうちに食べてくれるでしょう。 感染性はあまり無いようです。

主な治療法

放って置いても治る可能性がありますが、初期の段階なら淡水浴が効果的です。浸透圧を下げる事で原虫が体表から剥離し易くなるようです。 しかしあまりにも瘤が大きくなってしまったら、患部を切除します。ヒレの場合はヒレごとハサミで切り落とします。あんまり深く切るとヒレが再生しないので要注意。


トリコディナ症(トリコディナ繊毛虫の寄生)

主な症状

初期のうちは確認し辛いようだが、ひどくなると体表に白い膜が張ったような状態になる。 患部が炎症し鬱血したり粘膜が剥がれたようになる。粘液の分泌もひどくなりこれが元で呼吸困難も起こす。 このトリコディナ原虫にも種類があって、それぞれ特定の魚に寄生する事から、魚によって症状のパターンが違うようです。進行は比較的早く、一晩で全滅のケースも有り。

主な予防法

購入後間もなく発症するか、または購入した時点で発症しているケースが殆どのようで、これもやはり魚の体力低下が原因でしょう。 しかし、このトリコディナと言う繊毛虫類の繁殖環境を考えると、常に清潔で汚れの無い水質を維持していれば、そもそもあまり発病する事も無いようです。

主な治療法

初期のうちに淡水浴を行い、白い膜状の粘膜もそっと拭い取ってやる。ひどくなると肉が剥がれて骨まで見えちゃう事もあるようなので、なるべく早く治療してあげて欲しいですね。 この他、水槽の海水の水質が悪くなっていたり、かなり古くなっているような場合は、換水して海水を綺麗にしておく事も大切です。


サンゴの病気

RTN/Rapid Tissue Necrosis (ビブリオ感染症)

主な症状

主にミドリイシやハマサンゴなどの枝珊瑚に見られる病気です。 前兆としては、まず色が褐色化していくか、色素が抜けて不健康そうな状況になる。 また成長の早いミドリイシなどは事前に側生ポリプの起伏が貧相になり始める。 しばらくすると、所々共肉が骨格から剥離し、ナイロンが熱で溶けるようにほつれていく。 この時点で既に、スポイトなどで患部に水流を与えると、意図も簡単に共肉が剥がれ吹き飛んでしまう状態になる。 ここまで来ると、早ければ1〜2日中にも個体は全滅してしまう事が多いようです。

主な予防法

原因は主に、ストロンチウムやビタミン類等、各種微量元素の欠乏によるサンゴの免疫低下が考えられます。 この状態では、ちょっとしたサンゴの傷や、強化照明などによる活性酸素の処理能力の低下が引き金となり、ビブリオ菌に感染しやすい状態となります。 予防は、ストロンチウムを始め、ビタミンや各種微量元素の添加をマメにおこない、細菌への抵抗力を高める事と、何より不用意にサンゴに傷を作らない事が大切です。 その他、強めの光環境や強めの水流が望ましいとも言いますし、UV照射が効果的とも言います。

主な治療法

抗生物質を使って薬浴させると良いようです。 併せてとにかく換水する事です。ただでさえミドリイシが溶けて水を汚しているので、原因排除(微量元素の補充)の意味も兼ねて水質を改善する必要があります。 いずれにしても早期に患部を切除するか、間に合わない場合は、健康な部分だけでも枝を切断して残してみるのも1つの方法です。 私の場合、枝の剪定や淡水浴など試してみましたが、結局残した枝は全て全滅してしまいました。 しかし生き残ったミドリイシも数ヶ月は沈黙状態で、ポリプの開きも悪く成長が止まったようでした。 かなり経ってから再び伸び出すようになりましたが、それまでには相当時間が掛かりました。


ブラウンジェリー/Brown Jelly Disease (ゾウリムシ系繊毛虫類の寄生)

主な症状

ハード・ソフトに限らず褐虫藻を持つサンゴには片っ端から乗り移る悪魔のような病気です。 症状はRTNにも似ていますが、患部は目立ってブヨブヨと膨らみ透き通って見え、水流になびいてプルプルと揺れても見えます。 放っておくとかなり速いスピードで個体全体へ広がりますから、早急な対処が必要になります。

主な予防法

原虫は、サンゴに付いた傷口等から進入して褐虫藻を食い荒らしていくと考えられますから、とにかく不用意に傷を創らないことです。 通常この手の原虫類はどの水槽にも生息していると考えられますが、どのような条件でサンゴに寄生するのかはハッキリ判りません。 しかし、ビブリオ感染のように周りのサンゴに感染し広がるような事はあまり無いため、やはり寄生する側も宿主を選んでいるようです。

主な治療法

20〜30秒程度の淡水浴による浸透圧ショックも原虫退治には効果が見られるとの事ですが、再発するケースも多いようなので、病気の性質上、患部を切り落としてしまうのが賢明でしょう。 この時、切り落とすのは患部だけではなく、共肉内の原虫の進行具合も考慮して、正常な部分も含めてなるべく大きめに切除するのが望ましい方法です。 RTNのような感染症とは違い、この手の原虫類には抗生剤による薬浴はあまり効果がありません。


Dinos/Dinoflagellates (渦鞭毛藻類の異常繁殖)

主な症状

ハード・ソフトに限らず褐虫藻を持つサンゴには片っ端から乗り移る悪魔のような病気のようです。 症状は、茶色い藻の塊のようなものがサンゴに覆い被さるように広がっていき、一見すると藍藻(シアノバクテリア)のような感じです。 そして患部は萎縮しポリプも縮んだままの状態になります。 この茶色の藻のような物体は光合成種の渦鞭毛藻類が繁殖したもので、所々に光合成による酸素の気泡(ガス胞?)を蓄え、浮遊に役立てているようです。 そしてこの種の渦鞭毛藻は強い毒を生成する事もあり、これを魚が誤って摂取してしまった場合、最悪のケースでは魚が死んでしまう事もあるようです。

主な予防法

非常に困った事に、この病気はミドリイシの生育環境に好んで発生します。 従って予防法を考えると、それらはミドリイシの成長にも直接影響が出てしまうような結果にもなりかねません。 しかし相手が光合成種の渦鞭毛藻である事から、必要以上に高いKH環境は避け、pHを高めに維持していく事が大切で、 また単独異常繁殖を避けるためにも日頃から豊富な生物層に気を配り、ライブロックの定期交換や補充、プランクトンパックの導入などを行う事が、確実に予防に繋がっていくでしょう。

主な治療法

相手は光合成種であるため、照明を弱くするか点灯時間を減らしてみる。 繁殖条件であるKHを抑えるためにもカルシウムリアクター等は調整を絞るか停止させ、しばらくはカルクワッサーの添加のみに切り替える。 この時、pHを高め(8.4程度)に維持し、微量元素類の添加も控え、藻類である渦鞭毛藻の抑制を促す。 当然目に付くDinosの塊は極力水槽から取り除く事も大事。 そして、特定種の異常繁殖が発生した要因から配慮して、貧相化されてしまった水槽内の生物層を補うべく、 ライブロックの類を新しいものに取り替えたり、プランクトンパックなどを用いてこれらを補う事が重要になります。



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