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Reef工房室 - マリンアクアリウムを自作しよう!

微量元素自動供給装置

  1. プロローグ
  2. 構造と原理
  3. 用意したもの
  4. エピローグ

プロローグ

今までナチュラルシステムのメンテナンス自動化に力を注いできましたが、 どうしても越えられない壁のため実現出来ない装置がありました。 そのアイテムとは泣く子も黙る「微量元素自動添加装置」です。
その壁とは、超低回転ポンプの自作が困難であると言う点でした。 ギア比の高いモーターの調達は良いとして、 安定動作のための理想的な液送システムとして考えられるドージングポンプのような構造物を 自作で作ろうと言う発想が、まずは腰を重たくする原因でした
1台ならまだしも数台作るとなるとメチャ気が遠くなります。 このため、他の方式での実現に向け今まで色々と試行錯誤をしてきましたが、 どうにも、この「安定動作」の点で、ドージングポンプに適うものが思いつきません。 いえ、僕自身は自分でも究極に手先が器用と自負しています(笑)ので、 時間を掛ければ困難な構造物すら作り上げてしまうかも知れません(^-^; しかしそれではせっかくご覧頂いた皆様にとって意味のないアイテムとなってしまうため、 あくまで誰でも実現可能な方法が無いものかと日々模索していました。 ベローズポンプでも良いけど高いしでかいし微量設定時の安定性に問題がありそうです。 そうこう考えているうちに、遂に答えは出ました。それは、

誰でも扱えるAC100V仕様の超微量ポンプを低価格で探そう!

これさえ手に入れれば、あとは適当なお手持ちのタイマーと接続し、 必要な添加量となるようにタイマーを設定すれば、 誰でも自動で微量元素を毎日勝手に供給出来るシステムを組む事が可能になります! しかも低価格で! これでもう高い既製品を羨む日々とさよならです!
しかし、これがまた、なかなか都合の良い物はありませんねぇ・・・。 「簡単電源」、「超低回転」、「低価格」、これを満たすポンプは正直簡単には見当たりませんでした。 そこで、あるポンプメーカーの協力を得て、なんとか条件を満たすポンプが完成しました。 そのスペックは、

AC100V : 1rpm : 約0.8ml/min (60Hz時) :予価¥8,000-

どうです!? このスペック! これどうよ!? どうなのよコレ(-_。)\☆しつこい!
これさえあれば、ポンプ1台で微量元素1つからの供給が可能です。 3種の投入なら3台、3種なら3台と、必要なだけ用意すれば良い訳です。 それぞれの供給量も、各々にタイマーを用意する事で自由に供給量の変化を 持たせる事が可能ですし、第一、家計も大助かり! ある既製品では、3チャンネルの装置で軽く7~8万円はしていますから、 そんなお金があったら10チャンネル装置が制作出来ますよっ! 要らないけど(^-^;

で、とりあえず今回は、このポンプを使って、3チャンネル同量エレメントマスターを制作してみました。

構造と原理

構造図

見たままの通りです(^-^;
今回制作したポンプの流量は 0.8ml/min と決まっていますので、 あとは必要な添加量となるようなタイマー設定を行うだけで、 毎日決まった量の微量元素投入が行えます。
例えば図の場合、一日の動作時間を5分とすれば約4mlの供給が行え、 また10分なら8ml、1分なら0.8mlと言う超微量投入も行えます。

しかし今回用意出来たシンクロナスモーターは一番小さな回転数で1rpmでしたので、 この場合の1分間に於ける流量は最低でも0.8mlとなります。 従って、タイマーでの設定可能な動作時間が1分単位の場合、 これ以下で供給する事は出来ませんが、 恐らくこれより少ない供給を行いたいエレメントは多分無いと思いますので、 どんなエレメントを添加したい際も、 このポンプさえあればあとはタイマーの選択で供給可能となるでしょう。 しかし、秒単位で動作時間の設定が出来るタイマーがあるとすれば、 これよりも少ない供給量は可能になります。

用意したもの

微量ポンプ

今回、ポンプメーカーに制作して頂いた超微量ポンプです。

AC100V / 1rpm / 約0.8ml (60Hz時) * 50Hz時なら約0.6mlとなります

右上のジョイントから微量元素溶液を吸入し、左上のジョイントから排出します。
今回はこのポンプを3台使用しました。

タイマー

使用したタイマーは、いつもの「タイムリー」です。
デジタル表示で細かな設定が可能で、1日1動作、サイクル運転、なんでも来いです。
例えば、「エッセンシャルエレメントなんかを1本だけ自動に出来れば良いや!」なんて人なら、 このタイマーと上のポンプを1つ用意すれば、もう完成です! このタイマーが4~5千円程度ですから、ポンプと合わせても¥13,000ばかりで出来るのです。 これはもう、やるっきゃないでしょ(^-^?

完成品

はい。これが完成品でし。 タイマーはいつもの加工で埋め込みにしてみました(^-^
ケースは適当なアルミケースです。
3台のポンプはタイマーによって同じ動作を行いますので、あくまで同量供給装置です。
タイマーを複数台用意すれば供給量をそれぞれで自由に設定出来ますが、それが面倒、 またはコストが・・・と言う方は、 必要なだけそれぞれの微量元素溶液をRO水なんかで希釈して、 濃度に違いを持たせる事で擬似的に添加を遅くしたりする事が出来ます。その方がローコストですね(^-^

微量元素の組み合わせ例

実際に微量元素を装着してみた様子です。
容器を乗せる部分も適当にアルミ板で成形してみました。
ポンプの前面には、中が見えるように同じアルミ素材のパンチボードでフタをしてあります。 アクリル板でも良いけどね。

エピローグ

設置状態

今回の制作費は、ポンプ3台、タイマー、ケース、その他で、3万円程度。
ちなみにこの完成後しばらくして追加機能として強制スイッチも付けました。

追伸:
実は当初、このポンプを製造元に製造委託して、しばらくは当サイトで販売しておりましたが、 例の私の転勤騒動(笑)以来この業務は中止せざるを得ない状況となりました。 で、何年か後に無事(?)退社し、独立してからは少し余裕が出来たので販売を再開するつもりでしたが、 当初の担当者と連絡が付かず、それっきり手つかずとなっています。 んでまた余裕が無くなってきたな、と言う今日この頃です(^-^;
皆さん、頑張ってポンプを探して、あるいは作って貰える企業を見つけてくださいまし。。。 期待外れですみません。。。