S.K.Doserが発売されて以来、世のマリンアクアリスト達にとって、水酸化カルシウムの飽和水滴下に於ける作業は、かなり大助かりになったのは言うまでもないでしょう。
ある程度まとまった量のカルシウム粉をS.K.Doserに格納し、数日間はベローズポンプのタイマー回路の併用によって撹拌・供給を兼ねる事が出来るようになったのですから。
しかしこれでも、いざ慣れてくると更に横着がしたくなります(^-^;
「この粉末の供給動作も自動にならないものか」と・・・。そう思い続けてかれこれ何年経ったでしょうか・・・。
これまで色々とその横着に必要な装置の構造について、何度も構想を巡らせてはきたものの、今ひとつ決定打に欠けると言う点で何かと先送りになってきたのが実状でした。
しか〜し、とりあえず確実なイメージも湧かないまま、「作ってみりゃなんとかなるやろ」精神のもと、ようやく材料集めに乗り出す事にしました。
構造については、特に粉の供給がネックであり、何よりそのアクションを得るための動力源の選択にも悩みは尽きません。
しかしこのままでは話が先に進まないと思い、とりあえず雰囲気だけで材料を先に決めてしまいました。
その一つは「フードタイマー」。そして仕掛けは「ポンプ用インペラー」。これらを使ってそれらしいものがなんとか作れるのではないだろうかと考えてみる事にしました。
しかも既存のS.K.Doserも有効に使いたいため、あくまでもS.K.Doserにボルトオンで接続出来るものにしたいのです。そして実際に作ってみました。
[構造図]
一日一回の動作を行わせるため、そして水酸化カルシウム粉末の一定量排出動作に有効な動力源として、一般に市販されている熱帯魚用のフードタイマーを選択しました。
設定時刻になると、一回だけ軸がゆっくりと360°回転するという動作が得られるため、この回転運動を利用する事にします。
そして粉を収容するボトルの下部に配置したインペラーを回転させ、その周辺構造によって上のカルシウム粉末を巻き込んでインペラー室に引き込み、
上からとは対称位置にある排出穴から粉末を落下させようと言うものです。
図を見てみると、はは〜んなるほど、別になんて事も無い単純な構造なのが判ります。 本来餌箱を回転させるタイマーの軸がシャフトを回転させインペラーを回転させます。 そしてインペラーに掻き出されるようにしてカルシウム粉末が装置下に落下していく訳です。 が、この時の問題は、果たして幾度もの繰り返し動作によって、毎度粉が都合良く上から順次インペラーに与えられるのかどうか?と言うところでした。
はい、シャフトの下部分に注目!
この蛇行した曲げ処理は最初は無かったものですが、心配していた通り直線のシャフトだけでは粉が続けて落下して来なかったため、供給時に粉を撹拌させるために設けた構造です。
この処理によって、インペラーの回転と上層の粉末の撹拌動作が見事一元化出来ました。
そして、極力機密性を考慮した構造にする事で、カルシウム粉末の湿気による硬化も防ぐ事に繋がると思われます。
[心臓部]
そしてこれが肝心の心臓部。シャフトの回転から粉末の定量落下を得るための変換ヘッドです。
しかしこの時点ではまだ「理論上動作するだろう」と言う妄想の中の構造物に過ぎないモノ。
実際に製作していく上でいくつかの改良点は必要になるだろうと言う叩き台のベース案。
まあ、動作自体はさほど特殊なモノではないので、あとは細部のクリアランスがどこまで仕上げられるか、と言ったところかな。
今回使用した部品一覧を載せておきます
今回ボトルは適当なものを使用しましたが、仕上がりを気にするなら透明アクリル管等を使うと見栄えが良いですね。何より粉末が見えやすいし。
[作業1]
これが今回チョイスした兼松のフードタイマー。ま、似たような物なら何でも良いと思います。
本来の動作は、後ろに見える餌箱を設定時刻に一回転させると言うものです。が、今回は餌箱は使用しません。
さらにこのフードタイマーは、付属の設定ピンを使って、最高で一日に5回の動作を行わせる事が出来ます。もう好きなだけジャンジャン添加出来ます(?)。
逆に一時的に動作を停止させておきたい場合は、設定ピンを外しておけばいいのです。とても便利!
さらに有り難い事に、手動ピンを回せばいつでも強制的に動作させる事も出来ます。メチャ便利!
[作業2]
[作業3]
次に、水酸化カルシウムを収容するボトル容器です。これも何でも良いと思います。
但し、あまり小さいと意味がないので、せめて1000cc程度が宜しいかと思います。
私の場合は、たまたま買ったボトルのキャップ径が、写真のVU50x40の50側にピッタリフィットしましたので、キャップに穴を空けてボトルにはめたまま使用する事にしました。
で、次に右の写真のVU50x40継ぎ手に、今回の主要パーツとして命を吹き込みます(^-^
[作業4]
さて、これが主要部分の構成部品です。
インペラー以外はアクリル板や塩ビ管をカットして作った手作りパーツです。
VU40を約5mmカットしただけのスペーサー(写真左上)、大きくカットしたアクリルの蓮の葉状仕切板(写真右下)と、
小さくカットしたアクリルの蓮の葉状仕切板(写真左下)、これらを先のような構造に組み立てます。
カルシウム粉末を巻き込む側に大きな蓮の葉状仕切板、排出側に小さな蓮の葉状仕切板が来るように、そしてインペラーがこれらに圧迫されないように、スペーサー(VU40)も挟んでおきます。
これらは特に接着する必要はありません。
[作業5]
実際に組上がった機構部です。お見事!
写真をみるとお判りだと思いますが、このVU50x40継ぎ手の40側寸法(正確にはスペーサーとして挟んだVU40管内径)とインペラーの回転円周寸法は、計ったようにピッタンコなのです。
まるでこのために製造されたかのように。
で、この状態でインペラーを回してみると判りますが、蓮の葉の切り欠き部分で若干のつまづき感がありました。
私はうまく処理しましたが、もし皆さんが作られる場合は、蓮の葉のような切り欠きタイプではなく、縁を残した穴開けタイプの仕切板にした方が良いと思います(^-^;
[作業6]
[作業7]
次に3cm程度にカットしたVU40を蓮の葉状仕切板の固定用にはめ込み、
更に排出されるカルシウム粉末を集導するためのVP25x20継ぎ手を排出口寄りに配置し、アクリルネジで固定します。
この集導パイプはあとでS.K.Doserにセットする際にS.K.Doserのキャップ口が粉だらけになるのを防ぐためのものです。
さて、出来上がったものを右の写真のようにひっくり返すと本来の向きとなります。この上にボトルを載せる訳です。
[作業8]
[作業9]
次にボトルの底部に穴を空け、VU50x40継ぎ手をはめ込み接着します。
続いてシャフトですが、加工のし易さと錆びに強いアルミ線で作成します。
インペラーとの接合部分は、単に折り返し曲げを施しただけのものです。インペラーの軸を見れば納得します。
左のシャフトは試作品で失敗したものですが、これだと2〜3回も回転させると粉がもう出なくなりました(^-^;。
よって、撹拌構造を持たせたのが右のシャフトです。これでバッチリです(^-^
[作業10]
[作業11]
なんと、もう完成です。意外と短時間で完成しちゃいました。
各部のつなぎ目はほとんど接着してありません。機密性が良いので、ただはめ込むだけでガッシリとしています。
重心もなかなか。S.K.Doserとの接続に関しても接着は不要です。載せるだけでピッタリフィット!
夜もずれません(^-^;
ボルトオンどころか、ボルトすら要らないのだ!
[作業12]
ジャジャ〜ン!
これがS.K.Doser完全オートメーション化のお姿です。でかいかな?
でも見た目も悪くありません。そりゃそうです。常に既製品意識を・・・(-_。)\☆バキッ
余裕があれば太いアクリル管を用意してボトル部分を作りたいのですが、アクリル管は高いっ!
ま、もし製品化する機会があればそのようにしたいと思いますけどね。
とりあえずこのボトルでも内部は透けて見えるので、残量確認も問題なく行えますから。
[作業13]
[作業14]
さて、心配な動作チェックもしておきましょう。
ボトルには市販のカルクワッサー500gが楽々収容可能です。全部入れちゃいました。
続けて4回、ベニヤの上にまいてみましたが、うまく一定量が安定して出ます。できすぎ。
この量はいつものさじですり切り一杯分くらいかしら?
[作業15]
おっと、忘れちゃ行けないのが、唯一のS.K.Doserの改良点。
写真のようにサイドフロー構造に変更します。理由は省きます(^-^;
排出パイプは普通のエアチューブ径では無く、ちょっと太めに設定しておくのが無難ですね。
いずれ付着物で詰まりを起こしたら大変ですから(^-^;
[設置状態]
これが水槽の裏へ設置した様子です。
あくまでも本体はS.K.Doserに載っているだけなので、よほど大きな地震が来たら倒れるかも知れませんが、それでもかなり丈夫にS.K.Doserとフィットしていますので、多分大丈夫でしょう。
また、とりあえずこの後かなりの期間運用しましたが、特にカルシウム粉末が湿気ったり詰まったりすることもなく、意外と安定して動作していました。
[カルクワッサー完全自動システム]
今回制作した「A.P.Charger」によって、左図のようなシステムが構築出来ます。
主な回路は2つに分けられます。1つはRO水を常時貯水しておくための回路です。分岐水栓、電磁弁、RO/DI 浄水器、貯水タンク、フロートセンサー、タイマーで構成されます。
もう1つはサンプへのカルクワッサー添加回路です。ベローズポンプ、A.P.Charger、S.K.Doser(改)、フロートセンサー、タイマーで構成されます。
この回路によって、サンプ水位の蒸発差分に対してカルクワッサー添加を行います。
尚、S.K.Doserはサイドフロー構造への改良が必要となります。
また各回路にそれぞれタイマーを用いて時間差を付ける事が必要です。(説明省略)