1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

LEDによるコントラスト問題について

この記事を含むタグの全記事リスト: LED LEDうんちく

時間があるうちに書いちゃいます(汗)

水槽照明としてのLEDランプ。
それは非常にやっかいな問題を孕んでいた。
そう。それはコントラスト問題だ。

以下、これは単に僕の印象であり、学術的な精度なんて勿論ありませぬ(汗)
ひとつの考察としてご覧ください。

集光すればするほど顕著な問題

これはLEDに限ったことではありませんが、そもそもアクアリウムに於いては、光源をレンズで集光した照明機器自体が他に無い(知らない)ので、LEDをメイン照明に迎えた今回の実験で初めて日の目を見た問題なのかも知れません。

これまでもランプの集光の手段はいろいろありました。例えば、電球型蛍光灯向けのラッパ(反射板)灯具。スポットミニ「閃光」とか。
とは言え、ドーム面の反射による集光は、集光ではあってもドームの面積・角度の分だけ分散された光を多く含んでいます。そしてそれは生体に多角的に降り注いでいるはずです。

しかし、LEDはどうでしょうか。
市販の電球型LEDランプに限って言えば、少ない光束をかき集めるべく、すべての商品で狭角なレンズを搭載しています。(ボルクスは例外的に60°広角レンズですが)
一方、電球型ではない、システム照明化されたLED照明では、逆にレンズを搭載したものはまだ少ないようですが、その分、光量を稼ぐために大電力のLED素子を大量に積んでいます。そして結果的にメタハラと同等か、それ以上の消費電力になってしまっています。しかし、これは本末転倒といえます。仮に150Wを消費して150Wのメタハラと同等の光量を実現したと言うなら、僕なら波長域の問題からメタハラを選ぶでしょう(苦笑)
しかしそれが現状です。いくら技術が進んだとは言え、まだまだLEDはメタハラに置き換わるだけのスペックには及びません。メーカーとしても、使用に耐えうるものを提供するには、今のところこの方法しか無いのです。

少し脱線しましたが、電球型LEDランプに話を戻すと、これはコンセプトとしても効果としても、その仕組みは非常に優れているといえます。少ない電力で光量を得るための、これこそがLED本来の意味を生かした仕様と言えます。そして今の時代にもマッチすることでしょう。あとは波長を精査して、効果を吟味するだけです。・・・のはずでした。

しかし、実際にそれを水槽に取り入れてみて、ある問題が浮上しました。それがLEDのコントラスト問題です。厳密には「集光レンズによるコントラスト問題」と言った方が正しいかな。
実際にはLED素子自体にも樹脂によるレンズ構造が存在しますし、素子単体からの光だけを見た場合、多かれ少なかれ、外部レンズの有無に関わらずこの問題は孕んでいると言えるでしょう。
LEDはその構造上、光は素子の前面にしか出ません。最近の大出力タイプの素子なら、デフォルトでおよそ120°程度です。そして電球型ランプを構成する際には、それを外部レンズで更に30~60°まで絞り込みます。これでようやく使用に耐えうる光量に到達する訳です。
そして、ここに落とし穴が存在しました。

LEDのコントラスト問題の概要

上の図で、仮に両者の物体面での照度が同じ値だとしても、何かが大きく異なるのがお判りいただけると思います。そう、光の拡散がまるで違いますね。
蛍光灯(メタハラ)の方では、灯具自体の反射は勿論のこと、その拡散範囲の広さにより、更に二次的な反射光が期待できます。水面の反射、ガラス面での反射、良いこと尽くめです。
しかし、LED+レンズでは、ただでさえ直接光しか含まれない上に、光を集約しているため二次的な反射も皆無です。これはこれで「メタハラ並みのキラキラ(コントラスト)が得られた♪」と当初は万歳しましたが、蓋を開ければこれが集光レンズによる高照度のタネ明かしです。

両者の違いを確認するには、蛍光灯でできる影と、LEDでできる影を比較すると判りやすいでしょう。前者はぼやけてますが、後者はハッキリと浮き出ます。広い発光面積から全放射される拡散光と、小さな点光源から発せられる直進光の違いです。
じゃ、太陽光はどうなの?というと、あれは大気による拡散光も膨大ですが、それ以上に直進してくる光線量がハンパないために、やはり強いコントラストが現れると言えます。しかし海中では、海面の乱反射や地形による拡散により、生体には満遍なく光が注がれます。LEDの場合も、それを実現しなければなりません。

コントラスト問題が生体に及ぼす影響と、その反応

とは言え、別にこれが悪い要素でないなら、何も問題にはなりません。しかし、実際にはこれが原因ではないかと思えるような、生体の反応が見られました。それが以前紹介した、生体(ミドリイシ)からのスイーパ(刺糸)です。
参考:紫外線LED:Kミドリイシの防御反応

しかし当初はこのスイーパの原因がまったく掴めませんでした。水質にも問題はないし、光も十分すぎるはずです。しかも、日中、光を近づけてのスイーパなら光障害である判断もできますが、これが何故か夜間に起こるのです。それも、全てのミドリイシで。。。

待てよ。。。前にも見覚えがあるぞ?

実は、もう10年前の話ですが、実はこの現象は既に体験していました。ちょうど当時飼っていたエダコモン(沖縄くん)が、夜間に同じようにスイーパを出していることがあったのです。
で、共通項を探ってみると・・・日中の光が強すぎる・・・かな?
しかし、今は強いとは言っても所詮LEDの光です。メタハラほどの照度はありません。でも、どう考えても同じ現象ですし、それしか思い当たりません。

そこで疑ったのが、コントラスト問題でした。
仮説として、仮に光がさほど強くなかったとしても、コントラストが起こるほどの光環境に晒された場合、生体は何らかの防御反応を示すのではないだろうか?と。

でもなぜ、防御反応?

それは、レンズによる強力な集光によって、生体の照射面と陰との明暗差があまりに極端になるため、光合成や物質の受け渡しに障害が起こるのでは?と言うひとつの推測からです。
事実、スイーパは枝の先端や照射面からが多く、たまたま生き残ったスゲの部位とは、根元の水平で平坦な共肉部でした。平坦な部位ですから、影というものは無く、全面が照射面として光合成できる部位です。そして、溶けたのは全て枝状の個体です。これは照射面である先端から溶けるため、残った壁面は陰なので光合成量が足らず、これは溶けて当たり前?という考察です。

で、試しに、ちょうどボルクスさんから預かっていたLEDシステム照明サンプルを補助として、水槽の横からも照らしてみる実験に入りました。年末から年明けにかけての話です。これは特に案内してなかったので、知らなかった人も多いでしょう(汗)

結果、夜間のスイーパが軽減しました。完全には無くなりませんでしたが、もし東西南北の全角度から満遍なく当てたなら、おそらく解決できたのではないかと睨んでいます。例えこれが、いくつかの原因の一つに過ぎないとしても、まずは価値ある前進かなと思います。

うーん。。。照度も確保しつつ、光の拡散(反射)も必要なのか。。。

長くなったので、つづく

こちらのエントリーもどうぞ♪

LEDによるミドリイシ実験第一幕完結篇

この記事を含むタグの全記事リスト: LED水槽記録 紫外線LED

ちょっと時間ができたので取り返しがつかなくなる前に・・・と思ったら、時既に遅し(汗)
華麗に幕を閉じましょう♪

まず、管理不足が祟って、このありさまです。
冬季の蒸発分もろくに補給できず、ミドリイシが頻繁に水面からこんにちわ。
当然、比重はジェットコースター。。。
RO水のストックも底をつき、水道水での継続。
カルクワッサー始めました!と言いつつも三日坊主。。。
こんな放置を5L水槽でやらかしたらどうなるか。。。言わずもがな。
で、ここまでの悪い部分を全部ひっくるめて、僕のATフィールドとします(汗)

さて、それを前向きに捉え、「これは生体実験だったのだ」と、改めて自分に言い聞かせます(汗)
こんな苛酷な環境で生命活動がどう維持されるのか、それはLEDの違いによってどう変化するのか、それを検証していたと言うことにしちゃいます。都合よく、ね。

本日のありさまです。

ミドリイシの骨格標本ギャラリー

K* : ケントパパミドリイシ
D* : だにやんミドリイシ
E : エダコモンサンゴ(沖縄くん)

お判りの通り、E、K2、K3以外は全て白化済みです。。。K2も7割溶けてます。。。
途中で3L追加して8Lにしてみたは良いけど、余計な過信が更に失敗の元。。。
エダコモンだけは楽勝にフサフサなんだけどなぁ。。。さすがです。

度重なる水面露出による被害

乾燥する冬季は小型水槽にとって蒸発分の補給が特に欠かせません。が、かなり欠かしてました(汗)
慌てて水量を増やしてみたものの、なおさら安心してしまい、より極端な比重の変化を招くほど、蒸発と補給を繰り返してしまいました。

  1. まず、D3が溶け始める。数日で完全沈黙。なので、D3を後ろに移動し、K4にポジションを与える。ちなみにこのポジションはただでさえ光の弱いLeDio7 UVブレンドがギリギリ当たるかどうかの位置。
  2. K1が白化開始。これも数日で沈黙。LeDio7 PW直下。
  3. 続いてK4が白化開始。数日で沈黙。やはり位置的に光不足が否めないかも。

判ったこと : 水面露出はイクナイ(汗)。光の違いについてはなんとも言えない。

比重変化、微量元素枯渇、そしてコントラスト問題

コントラスト問題を緩和すべく補助LEDを横から照射するも、完全には防ぎきれず、また比重や水質の問題から第二の白化トラブルが勃発。

  1. まず、D1が白化開始。これはあからさまにUVの当てすぎだった模様。慌てて止めたが間に合わず。
  2. 次にD2も白化。こちらもD1同様、UVが少し強かったようだ。また、LeDio7 PWのような白色光はスゲミドリイシには合わないらしい、と言う判断。それもあっての白化だろう。
  3. ところが、ブルー光のある位置へ移動したら、D1の白化はギリギリ止まった。今も根元だけぽりぷがフサフサしてる(汗)。単に光の変化が幸いしたのかどうか確信は無いのでたまたまかも知れないが、経験上スゲはスーパークールによく発色するので、多分青い波長は良い方向で働くのだと考えている。
  4. その後2ヶ月は平穏かと思われたが、油断したのが災いしたか、つい先日からまた白化が始まった。まずはもっとも色揚げしていたK2から。今7割が溶けた状態で、進行は遅いが確実に進んでいる。もうダメだろう。
    ちなみにこのK2が今回の実験で一番綺麗に色が揚がっていた。綺麗なバイオレットだった(うそ臭いけど)。意外だったのは、僕が自作した東芝LED電球改の直下だったと言うこと。なんというオチ(笑)
  5. で、今見たら、最後の砦、LeDio7 UVブレンド直下のK3までが溶け始めている様子。ま、この流れなら仕方が無いだろう。他の白化で水質も悪くなっているだろうし、何かしらの感染症も併発してるならなおさらだ。とは言え、この中で一番よく頑張れた理由は、やはり僕は適度なUVにより、過酷な環境下でも生理の正常化へ繋がったのかな?なんて考えている。MAAsも絡むだろうし、感染症にも有効な気がするし、それは自然界の常識でもあるだろうから。ただ、光が適度であり、強すぎなかったことも幸いしたようにも思う。他のランプは強すぎて、今回のコントラスト問題が顕著すぎたようだから。色揚げという点では微妙だが、暗い色調ながらもベースはバイオレットが維持されている。これは単に光量の問題だろうから、ランプを増やせば東芝並みに明るいバイオレットになったように思う。

判ったこと : 紫外線はともかく、青い光が不可欠なのは間違いなさそう。

以上の結果を、単なるひとつの事例として表にまとめてみる。もちろん、効果を保障するものではない。

LEDランプの種類 素子 確認できた効果
LeDio7 UV入り
(LeDio9+ Aqua400UV相当)
1W白×3
1W青×3
1WUV×1
一番白化しにくい印象。UVが適度に効果アリか?
ただ、光量不足のため、ミドリイシは暗めの色調にはなるが、確実にバイオレットは維持できた。
東芝LED電球改アクアブルー 1W白×4
1W青×3
今回色揚げにもっとも有効だった。自作レンズにより照度も確保していたためか、ミドリイシも明るい色調でバイオレットが維持できた。
LeDio7 PearlWhite 1W白×6
1W青×1
バイオレットの個体、スゲには不向き。ともに褐色化につながった。
但し、グリーンのエダコモンには最適。グリーンでポリプもフサフサしている。

最近、「LEDには青を多めに入れなさい」と言っている理由は、この結果によります。やはり海洋生物には、まずは青ですね。仮に白LEDで超浅場をターゲットにする場合でも、必ず青の補光はあった方が良いでしょう。赤は・・・白に含まれる分で十分かと思われます。海洋生物の場合はね。

で、次の構想としては、まずROと自動給水を確保します(汗)。今回の実験は環境値がブレすぎました。申し訳ない。
その上で第二幕として「LEDのコントラスト問題の検証」に掛かりたいと考えてます。
ちなみに今回のケントパパのバイオレット個体は今の設備じゃ非常に厳しく感じたので、次回はもう少し飼い易い種で実験したいと思います(汗)

さて次回は、今回の実験で僕が気づいたLEDのコントラスト問題についてご紹介します。

こちらのエントリーもどうぞ♪

僕からのメッセージ・・・

ブログ エイジ 02:30 コメント8件

僕からの大事なメッセージです。

こちらのエントリーもどうぞ♪