
前回の最新LEDライト・スペクトル比較で紹介したEcoxotic Cannon LEDについて、僕としては気を利かせたつもりが、返って説明が不十分で印象を悪くした?っぽいので、一応一通りの情報に触れておくことにします。
Cannon=Edison製!?
まず、Cannonに採用されている大型LEDモジュールは、ノーブランド品などではなく、公式サイトでも明記されているように、LEDメーカーとしては有名なEdison Opto社のEdistarというシリーズのLEDモジュールが使われています。

そして、上の写真からも判るように、Cannonの筐体自体が、実はEdisonのEDIS Circular ModuleやEDIS Ellipse Moduleを流用しているようです。
なお、前回の記事では、これらLEDモジュールの採用チップは見た目の印象からBRIDGELUX社製かな?と書きましたが、公式のチップ情報は見つかりませんでした。 でもEdixeonあたりではよく見かけるので、まあ可能性は高いと思います。もちろん、有名なチップメーカーです。
大光量用途向けモジュールだから抜群の明るさなのだ
これらのモジュールは、元々は街灯などの大光量の水銀灯の代替用途に開発されたもので、まさに大光量に関しては折り紙付きです。

これらは天井の高い施設照明用途としても広く普及していて、これをこのままCannonとして売ってもバレません(ウソ)
実際の光量としては、前回計算した出力からは少し見劣りしますが、それでも50Wモジュール(5000K-10000K/ENSW-05-0707-EB-1)で約4,000lm、100Wモジュール(5000K-10000K/ENSW-10-1010-EB-1)で約7,000lmあります。色温度が高いため、どうしても光束は低めになります。
基本的なスペクトルは一般白色LEDと同等
Edistarの標準的なスペクトルはこのような特性を示します。上がクールホワイト、下がウォームホワイトです。一般の白色LEDのスペクトルと同等のカーブを描きます。但し、Cannonの場合は色温度の高いランクを採用しているため、このクールホワイトのスペクトルよりも黄色の山は小さくなるでしょう。

尚、ブルーのグラフはありませんが、およそ蛍光体の黄色の山が無いものと一致します。
ちなみにEdistarの一般ラインナップの中にはブルーは見当たらないので、ブルーについては業販向けメニューでしょう。
とは言え、もっとも高い色温度のランクを採用しています
Edistarの白色モジュールの需要は、一般には3000K~6000Kあたりが主流ですが、Cannonの場合は公称値が12000Kとあるので、色ランクのもっとも高い10000K(Y2ランク)を採用しているか、あるいは専用品を作らせているか、どちらだと思われます。そうした高い色温度のスペクトルほど、黄色の山は小さくなります。

結論、Cannonの評価
で、何が言いたいかというと、Cannonに関しては、大光量という部分と、この12000Kという部分がミソになると思われます。
まず、以下のスペクトルをご覧ください。上がヤフオク24Wから取り出した一般白色LED、下がeco-lamps KR93の標準白色LEDのスペクトルです。

一般白色LEDの方は標準的な6000Kで、対してKR93は極めて青白い20000K(公称12000Kですがこの領域は色温度が高すぎて正しい値が得にくい)ですが、注目すべきはシアンの欠落部分と黄色(緑550nm前後)のピークとの高低差です。このバランスがフラットなもの(海中の波長バランスから極端にかけ離れていないもの)ほど、生体への負担は軽くなると考えられる(最近の持論)ので、色温度の低い6000Kよりも、色温度の高い10000Kのような白色LEDのスペクトル分布の方が、海中のスペクトル変移に近く、光合成生物も適応しやすいと考えられます。これは以前からも言ってきましたが、青の波長は多くても大丈夫とか、むしろ青は多い方が無難とか、その上で全体の光量を稼いだ方が各波長不足の底辺が嵩上げされて無難なスペクトル強度が確保される、といってきた所以です。UVやシアンを補完してない一般白色LEDだけで比較的高度に維持されている水槽とは、こうした高い色温度の白色LED(もしくは青多め)を使ったシステムに多く見られると思います。皮肉なもので、僕みたいにLEDをあれこれいじるより、如何にもアクアブルーな青白い水槽の方が、よっぽど調子よく、色揚げも成功していたり、なんて(反省)
よって、もしCannonが高い評価を得ているならば、この辺が理由ではないかと思います。同じ一般白色LED製品群の中で見ても12000Kなら上記の理由からスペクトル的にも有利だと言えますし、KR93が海外で高評価を得てきたことにも通ずる部分です。
とは言え、あくまでも一般白色LEDですから、UVやシアンが不足していることに変わりありません。その点を理解した上で、無難な範囲に於いて使用したり、照度の補助として使用したり、あるいはメインで使うなら補助ランプで波長を補完するか、そうでないなら始めからフルスペクトル入り製品をお勧めします。Mazarra、Illumagic、そしてKR93SP等。
え?
何か気づかれました?
すみません。もう少しスルーでお願いします(汗)
そのうち。。。きっと。。。
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早速ブルーハーバーから案内がありました。
そう、KR93SPフルスペの価格改定です!
型番 |
定価改定 |
応援市場価格改定 |
値上げ |
KR93SP-12S |
95,000円→96,000円 |
78,000円→78,600円 |
↑600円 |
KR93SP-18S |
147,000円→149,000円 |
120,000円→122,000円 |
↑2,000円 |
KR93SP-24S |
183,000円→195,000円 |
150,000円→160,000円 |
↑10,000円 |
KR93SP-30S |
235,000円→244,000円 |
193,000円→201,000円 |
↑8,000円 |
KR93SP-36S |
277,000円→299,000円 |
228,000円→247,000円 |
↑19,000円 |
KR93SP-42S |
323,000円→329,000円 |
266,000円→271,000円 |
↑5,000円 |
KR93SP-48S |
357,000円→395,000円 |
294,000円→326,000円 |
↑32,000円 |
KR93SP-54S |
389,000円→446,000円 |
320,000円→369,000円 |
↑49,000円 |
あさって10/1から適用されます。
応援市場でも9/30深夜に新価格に切り替えます。
改定後のBH販売価格はBHサイトをご覧ください。
尚、9/30までは旧価格で予約を受け付けます。
ま、今日明日いっぱいしかないけど(汗)
ただ、思ったより価格アップが抑えられていて良かったです。
eco-lamps様様、BH様様です♪
以上、よろしくお願いいたします。
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練りに練られたKR93SPフルスペのスペクトル改善案、それは最終的にバージョン3に至りました。そして正式採用も決定し、初期ロットから反映される予定です。お楽しみに♪
こだわったのは、フルスペクトルは勿論のこと、スペクトル自体の整合性です。白chと青chそれぞれに独立した高次元のフルスペクトルを確保すること、そして白chと青chをどのような比率でブレンドしても、スペクトルが破綻しない強固な整合性を実現すること。。。
そしてその完成度はついに前人未到の域に踏み込んでしまいました。こんな高みに登ってしまって良いのだろうか。。。今後他社はついて来れるだろうか。。。なんちゃって(汗)
LED素子配列と各波長の光量分布
白chと青chはこのような構成になっています。18インチ(45cm)の例です。

* 照度とPPFDは点光源+ビーム角65°+30cm距離の条件で計算したもの
18インチ(45cm)の場合の全素子数は62素子(ムーンを含めて63素子)。うち41素子が白ch、残り21素子が青chに割り当てられています。それぞれのチャンネルを個別に見れば、素子配列は比較的単純ですね(汗)
そして、スペクトルの優先により犠牲になった光量についても触れておきます。
以下の表は、設計ver.3とver.1での設計光量の違いを表したものです。但し、LED素子はver.3で決定した最終スペック品に統一して計算しています。また、シアンは白の補完を目的としているため白にカウントしています。
LED素子 |
KR93SP 18″ ver.3 |
KR93SP 18″ ver.1 |
QT |
lm (mW) |
QT |
lm (mW) |
CoolWhite |
13 |
108lm×13=1,404lm |
21 |
108lm×21=2,268lm |
NeutralWhite |
6 |
98lm×6=588lm |
12 |
98lm×12=1,176lm |
Cyan 500nm |
6 |
55lm×6=330lm |
6 |
55lm×6=330lm |
White total |
25 |
2,322lm |
39 |
3,774lm |
|
Blue 475nm |
12 |
15lm×12=180lm |
7 |
15lm×7=105lm |
RoyalBlue 450nm |
6 |
500mW×6=3,000mW |
3 |
500mW×3=1,500mW |
BlueViolet 420nm |
10 |
300mW×10=3,000mW |
7 |
300mW×7=2,100mW |
UV 400nm |
10 |
250mW×10=2,500mW |
7 |
250mW×7=1,750mW |
Blue total |
38 |
180lm+8,500mW
約12,000mW |
24 |
105lm+5,350mW
約7,500mW |
|
total Watt |
63 |
63W |
63 |
63W |
* ムーンはRoyalBlue×1として換算 (実際には7チップのため7ヶ分に相当)
見てお判りの通り、余裕で3,700lmもあった白chを、スペクトル優先のため2,300lmまで削りました。その分をすべて青chへ、特にバイオレット帯域に注ぎ込んだと言う訳です♪
そして、試しに他社のUV+BlueViolet入りモデルと比較してみましょう。
LED素子 |
KR93SP 18″ |
Mazarra P |
Illumagic S45 |
QT |
lm (mW) |
QT |
lm (mW) |
QT |
lm (mW) |
CW |
13 |
108lm×13
=1,404lm |
4 |
540lm×4
=2,160lm |
6 |
310lm×6
=1,860lm |
NW |
6 |
98lm×6
=588lm |
- |
- |
2 |
270lm
=540lm |
WW |
- |
- |
2 |
232lm×2
=464lm |
- |
- |
500nm |
6 |
55lm×6
=330lm |
- |
- |
- |
- |
total |
25 |
2,322lm |
6 |
2,624lm |
8 |
2,400lm |
|
475nm |
12 |
15lm×12
=180lm |
4 |
88lm×2
+88lm×2
=352lm |
2 |
90lm×2
=180lm |
450nm |
6 |
500mW×6
=3,000mW |
4 |
1,222mW×2
+910mW×2
=4,264mW |
2 |
1,080mW×2
=2,160mW |
420nm |
10 |
300mW×10
=3,000mW |
1 |
600mW×1
=600mW |
2 |
350mW×2
=700mW |
400nm |
10 |
250mW×10
=2,500mW |
1 |
500mW×1
=500mW |
2 |
300mW×2
=600mW |
total |
38 |
180lm
+8,500mW |
10 |
352lm
+5,364mW |
8 |
180lm
+3,460mW |
|
Watt |
63 |
63W |
16 |
56W |
16 |
46W |
* Mazarraは公称値で計算、Illumagicは一番近いS45を最高ランクで計算

まあ、いずれの製品も消費電力が異なるので、厳密な光量の比較にはなりませんが、およそスペクトルのウェイトはつかめると思います。それに、光量は台数で解決できますから。
ただ、KR93SPの方は、人間の目には捉え難いUV~BlueVioletに光強度が集中しているため、全体の明るさがやや暗く見えたり、見た目の色味も他社ほど青くは見えないかも知れません。但し、その分、SCのようなギラギラしたメタハラ感を味わえるでしょう♪
KR93SP ver.3による水深スペクトルイメージ
そして、例の水深イメージも更新されます♪
見よ! この驚異的な進化を!

もはや説明は不要でしょう。
「これ使わないでどれ使うの?」
という売り文句は、果たして大げさでしょうか?笑
そうそう。
皆さん、Tankさんのアンケートはもうご覧になられましたか?
↓本日9/29 0:00現在

嬉しいなぁ~♪
ここまで頑張れたのも、こうした皆さんの声も大きな励みになったからです♪
Tankさん、皆さん、ありがとうございます!
完成が本当に楽しみです!
まだ予約されていない方は、なんとか冬ボを当てられるよう、お祈りしています♪
年末に向けて、今のうちに少しずつ嫁さんにゴマすり始めると良いかも!(笑)
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