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懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

フルスペクトル vs 非フルスペクトル

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マジか!?

非フルスペクトルは人にストレスを与えるが、
フルスペクトルは人にストレスを与えない

- フリッツ・ホルヴィッヒ (1980) -

太陽の恵み

そこでちょっと古いけど、以前僕が投稿した記事を振り返ってみます。

フルスペクトルの定義、必然、結果 - 2012/2/10

当時から僕は波長不足な光源に対し、以下のような警鐘を鳴らしてきました。

(サンゴ飼育に用いる一般的な白色LEDに対する言及として)
(a) 自然界で利用していた400nm~420nmの波長が欠落
(b) シアンが緑・黄より極端に弱いという、自然界ではありえない波長バランス
これらにより、本来の光合成・蛍光が得られず、また破綻スペクトルによる光合成異常やストレスなどの懸念、結果として、一部のサンゴは適応できても、多くのサンゴにとっては拷問・虐待となり得るでしょう。

とは言え、これはあくまで僕のホビーレベルの持論であり、決して権威ある博士や専門機関が導き出した科学的な見解、という訳ではありませんでした。

しかし、波長バランスの破綻した「見た目だけの疑似白色光源」と、太陽光を模倣した「フルスペクトル光源」との比較実験で、前者では生物学的にストレスや異常が生じるが、後者では正常な生理維持は元より病気さえも治癒に向けてしまう効果があることが、実は30年も前に既に科学的に実証されていたようです。

最近になって、そんないくつかの文献にたまたま遭遇したので、以下にご紹介しておきます。サンゴや魚などの海洋生物に直接言及されたものではありませんが、同じ太陽光の元で活動する生物への影響として、決して無視はできない症例だろうと思われます。ましてや光合成を生業とする生き物たちにとってはね。
いずれサンゴだけではなく、魚飼育に於いてもフルスペクトルが推奨される日が来る?笑

注)下記の各引用にある単語の説明
クールホワイト照明:フルスペクトルではない照明(一般の3波長蛍光灯など)
フルスペクトル照明:太陽光のように本来あるべき波長が満たされた照明

Seeing the Light - by Sally Eauclaire Osborne - 2013/2/6

In Germany, Fritz Hollwich, Professor Emeritus, Department of Ophthalmology at the University of Munster, found high levels of stress hormones - specifically adrenocorticotrophic hormone (ACTH) and cortisol - in individuals sitting under cool white fluorescent tubes. He found normal levels, however, in people working under full-spectrum tubes. Based on the research of Dr. Hollwich and others, the cool-white fluorescent bulb is legally banned in German hospitals and medical facilities.(7)

7. Hollwich, Fritz and Dieckhues, B., “The Effect of Natural and Artificial Light Via the Eye on the Hormonal and Metabolic Balance of Animal and Man,” Opthalmologica, 1980, vol. 180., no 4, pp. 188-197.

「非フルスペクトルに当たると副腎皮質刺激ホルモン”ACTH”とストレスホルモン”コルチゾール”がストレスレベルに達するが、フルスペクトルではそれは生じない」と書かれているのですが、ちょうどこれを翻訳して引用されている記事が何件か見つかりました。
その中のひとつがこちら↓

紫外線を敵対視する陰で - 2005/7/21 (上の翻訳引用)

1980年、フリッツ・ホルヴィヒ博士は、座っている人々に人工の強力なクールホワイト照明(光のスペクトルの両端の赤色と青紫色が欠けている)と、日光によく似た人工照明(フルスペクトル)をあてて、その効果を比較検討した。内分泌系に現れる変化によって効果を評価したところ、クールホワイト灯に当たっていた人たちの副腎皮質刺激ホルモンと、ストレスホルモンのコルチゾールは、ストレスのレベルに達していた。こうした変化は、日光とよく似た蛍光灯のもとでは全く現れなかった。
フルスペクトルでない人工照明にあたりながら学校生活をしている子供達は行儀が悪くなり、疲れやすく、忍耐力が不足するという。こうした研究により、ドイツの病院や医用施設では、クールホワイト蛍光灯の使用が法律で禁じられているという・・・等々。

しかも、法律で使用を禁止するほどの重大な結果と捉えられていることに驚きですね!

この文献に関する記述はFritz Hollwichの「The Effect of Natural and Artificial Light Via the Eye on the Hormonal and Metabolic Balance of Animal and Man」のタイトルで検索するとたくさんヒットします。例えば以下のページとか。

その他、以下のページにも関連する情報が多くまとめられています。以下、一部抜粋。

4.光線療法にからむ実験・統計 - 2013/5/19

  • 光から紫外線をカットすると光合成がうまくいかない。葉緑体の動くリズムが狂い、円滑な正規の動きにならないが、再び紫外線を当てると正常な光合成が行なわれる。
  • カボチャ種の芽は蛍光灯のもとでは十分生長しないが、光源に紫外線を加えるとふつうに生長する。
  • 従来のクールホワイトの蛍光照明をつけた教室の生徒は、活動亢進、疲労、イライラ、注意力散漫を示す者がいた。これに対し、フルスペクトル照明の教室では、成績全体のみならず、生徒の態度や雰囲気が1ヶ月のうちに著しく改善。
  • 結核は日光で治療できる病気のひとつで、紫外線を遮断してしまうと効果が出ないことも発見されている。

*但し、各情報のソースは明確にされていませんが(汗)

ならば、僕の功績も是非付け加えておきたいところです。

  • スギノキの蛍光ブルーはUV 400-420nm前後でもっとも強く励起される
    (400nm LEDによる蛍光励起蛍光タンパク維持を実証)
    (蛍光シアンにも同様の効果を確認)
    (450nm前後だけでは励起量が弱く長期維持できないことを確認)
  • トゲの色素ピンクはアンバー570-590nm前後をもっとも大きく吸収する
    (デコライトのような温白色LEDでも代用可能であることを実証)
    (色素ブルーや色素パープルにも同様の効果を確認)
    (アンバーの弱い蛍光灯でも緑の突出波長強度が代用になることを確認)

思い起こせば、メタハラ時代から測定器を自作するほどに恋い焦がれた(笑)UVの存在、そして情報に乏しいながらも海藻のフィコビリン色素に見立てて仮説をこねくり回した(笑)色素タンパクの存在、それもこれもすべてが波長への執拗な(笑)取り組みに繋がり、その甲斐あって実を結んだのが今日の集大成である、そう断言できます。うむ。

非フルスペクトルはサンゴにストレスを与えるが、
フルスペクトルはサンゴにストレスを与えない

- 明林 永二 (2012) -

栗は元気です♪

あ、栗スケさんは元気です♪

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