結果 Oh! Life

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記



201512月15

第18回サンゴ礁学会

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facebookをご覧の方はご存じだと思いますが(笑)
先日、サンゴ礁学会第18回大会へ出席しました。
僕は昨年に引き続き2度目の参加です。
写真ばかりですが、雰囲気だけでも味わってもらえたら幸いです♪

第18回サンゴ礁学会

まず、大会前日はヤボ用で大阪へ。。。

大阪で読書の秋

打ち合わせを早々に済ませ、いざ東京へ前乗りです♪

新幹線のぞみ

そして東京の夜を満喫して、静かに就寝。。。

さあ、サンゴ礁学会第18回大会当日!
今年のサンゴ礁学会のスケジュールはザックリとこんな感じでした。

日時 午前 午後
11/27(金) 口頭発表 自由集会
11/28(土) ポスター発表 口頭発表/総会 懇親会
11/29(日) テーマセッション 公開シンポジウム -

昨年との違いは、まず口頭発表ポスター発表の実施日が分けられたこと。去年は連日同時進行だったので、タイミングによってはどうしても見れない発表が生じてしまいましたが、今年は見たい口頭発表と見たいポスター発表がすべて見られました♪
そして、昨年にはなかった新たな試みとして、最終日にテーマセッションといういくつかのディスカッションがおこなわれたようです。
今回僕が参加したのは、初日の口頭発表の午前の部と、二日目のポスター発表と総会、最終日の公開シンポジウムです。
それ以外は、、、あちこちスイハイしてました(笑)。その件はまた今度。

会場のご紹介

今年の会場は慶應義塾大学三田キャンパスでした。僕はお初です♪
というか、大学の構内入ったこと自体お初かも(汗)
そう、僕の最終学歴は工業高校だったので、大学にはとんとご縁がなかった~汗

まず、南校舎5階へ上がると、写真家中村征夫さんの作品が目に飛び込んできます。
最終日の公開シンポジウムにも中村さんが関わっておられるので楽しみです♪

会場に展示された中村さんの写真

受付の前にはMMC企画が設置したレッドシーのREEFER水槽が!

会場に設置されたMMC水槽

そう、今年のサンゴ礁学会には多くのアクアリウム企業が協賛で参加されてました!

協賛各社

凄いですね~♪
この今年の協賛を足がかりとして、来年からはもっと多くのアクア企業・アクアショップが参加出来たら良いな~と考えてます。もちろん、そうなれば我々アクアリストも大挙して押しかけるべきですよね!笑
来年もTOJO高野さんには益々頑張って貰いましょう♪笑

コーラルカフェ(休憩所&ブース)のご紹介

そして、コーラルカフェと称した休憩所では、コーヒー(インスタント)が飲み放題♪笑
各社のブースもこの中にありました。
また、今年はサンゴの保全活動に取り込む玉川学園の生徒らによるポスター発表もあり、注目を集めていました。

コーラルカフェ(休憩所)に貼られた玉川学園の発表ポスター

すごくよくまとめられた内容に感心!

コーラルカフェ(休憩所)に貼られた玉川学園の発表ポスター

こちらは小学部によるポスターです。尊敬します!

コーラルカフェ(休憩所)に貼られた玉川学園の発表ポスター

そしてブースですが、、、なんとビックリ! 京都のCCSも出展してますやん♪
5年前にポシャった(汗)ボルクスの自然光LEDランプ以来でした。懐かしい~

CCSブース

あああ~UPRtek MK350S良いな~欲しいな~笑

MK350S (CCSブース)

旭光通商も台湾製のスペクトロメーター置いてた♪
あああ~PPFD測れる奴欲しいよ~笑

スペクトロメーター (旭光通商ブース)

サンゴの反射スペクトルを貼ってる光学メーカーも!(会社名失念すみません)

サンゴの反射スペクトル

ふむふむ。やっぱりCFP持ってるサンゴは多いね。僕の調査結果と同じです。
あと、深赤の多くはクロロフィル蛍光らしいですよ。
あああ~高まるわぁ~曝

口頭発表のご紹介

口頭発表は、初日の午前の部が萌え萌えきゅんきゅんマックスでしたっ!曝

口頭発表:午前の部

あのね、この第一の部の5講演は、本当に内容が濃かったです。

OR 1-1
サンゴ-褐虫藻の細胞内共生初期の分子応答から共生成立の謎を解く
湯山育子 (国立遺伝学研究所・生命情報研究センター)

口頭発表:午前の部 1

OR 1-2
共生する褐虫藻のタイプはサンゴ幼体の初期生残に影響するか?
山下洋 (水研セ西海水研)

OR 1-3
稚サンゴの遺伝的差異と高水温下における共生褐虫藻の変化
依藤実樹子 (琉球大・熱生研)

口頭発表:午前の部 2, 3

OR 1-4
プラヌラ存在下での褐虫藻の行動とレクチンの関与
神保充 (北里大・海洋)

OR 1-5
Acropora tenuis レクチンの環境中での褐虫藻誘引活性能
竹内亮太 (北里大・海洋)

口頭発表:午前の部 4, 5

主に褐虫藻に関連した発表ですが、アクアリストはテンション上がること請け合い♪笑
去年も凄く勉強になったけど、今年もかなりの情報収集ができました♪

で、ここでちょっぴり外出。スイハイです(笑)

で、戻って来てから、午後の部の後半を受講。

口頭発表:午後の部

うとうと。。。汗

ポスター発表のご紹介

聞きたい発表の初っぱなから発表者が不在で聞けず。。。とりあえず眺めただけ。

ポスター発表 1

↓これ面白い試みでした。褐虫藻の代わりに蛍光ビーズを取り込ませる実験。
P 4
白化が褐虫藻の新規獲得を促進する
菊池彩花 (総研大・基礎生物学研究所)

ポスター発表 2

6μmのビーズ使ったらしいけど、そんなもん売ってることにもビックリ(笑)
将来的には蛍光マーキングした褐虫藻での実験を懇願してきました。

発表者はどこだぁ~笑

ポスター発表 3

↓この強光障害に関する発表も面白かった。実験のクオリティも高いし!
P 10
サンゴの光環境適応
加藤弘樹 (総研大・基礎生物学研究所)

ポスター発表 4

そして、発表を聞き終えた後の雑談にて。

僕 「ちなみにどんな照明で研究を?」
彼 「LEDですよ」
僕 「へぇ〜何て言う製品ですか?」
彼 「S・・・ナントカSPだったかな?」
僕 「え?KR93SPですか?」
彼 「それ!」
ポスターのプロフィール写真の後ろに写ってるKRを指差して、
彼 「これこれ、このLEDです!」
僕 「あ!フルスペやん(笑)」

彼の所属を見たら、なんと基礎生物研究所でした。
確かに
何台もKRシリーズを納品してるらしい。
何というミラクル♪曝

その他にもたくさんのポスター発表がありましたが、発表者が見当たらなかったり(笑)、逆に常に順番待ちだったり、なかなかタイミングが合わないことが。。。でも読むだけでも勉強になるので、気になるポスターは一通り目を通してきました。

ポスター発表 5

ポスター発表のあとは総会でしたが、後半早めに切り上げてスイハイへ(笑)

公開シンポジウムのご紹介

最終日は、参加無料の公開シンポジウムです。
でも、午前中はスイハイ(笑)だったのでテーマセッションは参加せず、午後の公開シンポジウムから参加しました。

まず最初は、人類学者の中沢新一先生の講演から。

公開シンポジウム:中沢先生講演

続いて、写真家の中村征夫さんのスライドを見ながらのハーブの生演奏。

公開シンポジウム:中村さんのスライド&ハーブ生演奏

てっきり中村さんのお話が聞けると思ってたのに、ちょっと残念。。。

そしてラストはディスカッション。

公開シンポジウム:ディスカッション

ここで流れたスライドも、凄くためになりました♪

公開シンポジウム:ディスカッション スライド1

公開シンポジウム:ディスカッション スライド2

公開シンポジウム:ディスカッション スライド3

公開シンポジウム:ディスカッション スライド4

予定時間を少しオーバーして、サンゴ礁学会第18回大会は無事閉幕となりました。
やっぱり来て良かった!

今回の収穫

まず、蛍光タンパクや強光障害のメカニズムに褐虫藻のクレードが大きく関わっていることを、これまで以上に詳しく理解することができました。この解釈によって水槽内で起こりうる白化についてもおよその説明が付けられそうで、今後に期待大です。

また、今までは褐虫藻のクレードによって蛍光タンパクの量が制限されると言うデータを根拠に、もしかしたら蛍光タンパクのカラーも褐虫藻によって決定されるのかな?と考えたりしましたが、今回何名かの研究者に確認したところ、プラヌラ(サンゴの幼生)が褐虫藻を取り込む前の段階で既にGFPなりRFPを持ってるらしいので、蛍光タンパクとそのカラーについてはサンゴの遺伝的なものでは無いかと推測されるようです。

また、最近僕もよく書いてますが、深赤680nm前後の蛍光はやはりクロロフィル蛍光とのことです。これは褐虫藻にUVを当てると容易に発光するそうです。最近では、アオサンゴに370nmを照射すると真っ赤に発光することを発見して驚きましたが、これもどうやらクロロフィル蛍光のようです。

また、以前からも何度か紹介してきたUVストレスによる蛍光タンパク増加(Yuyama et al. 2012)の論文著者、国立遺伝学研究所の湯山育子さんにも今回直接お話を伺うことができました。そして後日、その論文「Algal symbiont type affects gene expression in juveniles of the coral Acropora tenuis exposed to thermal stress」を頂くことができましたので、翻訳できたらまたご紹介したいと思います。

また、サンゴのゲノム解析で有名な沖縄のOISTマリンゲノミックスの新里宙也さんが今回も来られていたので少しお話を伺いましたが、今は保全のためのサンゴの繁殖に関する遺伝子の研究をおこなってるそうです。昨年の大会でGFPの研究もしたいと仰ってたので少し期待してたのですが、残念ながらまだしばらくお預けのようです。

来年はアクアリスト大勢で参加したいなぁ♪
皆さん、今のうちからご検討くださいね。
ただ、、、来年の会場は沖縄です(笑)
貯金しよっと。。。

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20156月05

褐虫藻に焦点を当てたLED選び

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応援市場にて今月いっぱいの「夏まで待てないLeDio祭り」を開催中です。
とりあえずLEDスポットを業界最安でゲットされたい方はご検討ください♪

さらに、ここ最近LEDシステムライトの購入に関するご相談が増えてきました!?
僕は相変わらず不景気(泣)なのに、一部では景気が回復してるのかしら?笑

と言う訳で、
今年の夏こそはLEDシステムライトをゲットするぜ!
と言うアクアリストのために、ただいま各社の最新ロットを調査中です♪
データがまとまり次第、順次ご報告していきますのでお楽しみに!

LEDシステムライト2015年5月最新ロット調査

で、LEDシステムライトは、ただ闇雲に選べば良いってもんじゃありません。
自分に合った条件は勿論ですが、まずはサンゴのための条件にも目を向けましょう。
サンゴと言えば褐虫藻
と言う訳で、今回は予備知識として褐虫藻のことを考えていきたいと思います。

褐虫藻は光合成産物の大部分をサンゴに提供しています。
光合成と言えばクロロフィル(葉緑素)。
そのため、LEDライトに於いても、そのスペックを表すために、度々クロロフィルの吸収スペクトルに対するカバー率が示されてきました。
クロロフィルには主にaとbがありますが、cやdもあります。

クロロフィルa/b/c/dの吸収スペクトル

* PukiWiki記事を参考

ま、相手が陸生植物ならそれで良いのですが、我々が相手にするのはあくまでもサンゴの褐虫藻です。褐虫藻は果たしてどのクロロフィルを持っているのか? それとも全部か?

はい。褐虫藻は、クロロフィルaクロロフィルcを持っていると言われています。

褐虫藻が持つクロロフィルa/c

そう、褐虫藻が持っているのは、実はクロロフィルcなのです。
今までクロロフィルaやbばかり見てきたので、このcの吸収スペクトルは斬新でしょう(笑)
赤はほとんど必要としないし、深赤660-680nmは全く要らないんですぜ?汗
なるほど。陸生の光合成と違って、赤の届かない海中に特化した仕組みですね!

また、クロロフィルaはクロロフィル蛍光を持ち、その蛍光はおよそ670nm前後のスペクトルを発します。

クロロフィル蛍光

* ITC記事より引用

実はこれ、僕が過去にディープレッド蛍光だと解説してきたモノの中にも混じっていたかも知れません。例えば、以下はカラーレポートにも掲載している反射スペクトルグラフです。

ディープレッド蛍光/クロロフィル蛍光

* スパスラタ:カラーレポートVOL1, ハナサンゴ:カラーレポートVOL3より

僕が測定したモノはいずれもかなり微弱でカーブがハッキリしませんが、ピーク波長はかなり近いです。また、同種間でもこれが見られたり見られなかったりするのも、クロロフィル蛍光ならでは?と今なら納得出来ます。なぜなら、クロロフィル蛍光は光合成が過剰な時に発せられるからです。と言うことは、反射スペクトルの測定時に励起波長強度が強すぎた時に現れていたのかも?
特に630nmの赤の波長に対して顕著(660nm時は励起波長のカーブを減算すれば630nm時よりも発光量は小さい)なので、やはりサンゴはこの赤の波長帯域は嫌ってるんだなぁ~と妙に納得したり。
カラーレポートをお持ちの方は、各サンゴの深赤部分をご確認ください。ここが発光してるサンゴは結構多いです。

ただ、そうなってくると、このクロロフィル蛍光がクロロフィル自身の赤側要求670-680nmを満たしているとは言い辛くなってきました。だって、光量がキャパ以内の時は蛍光を発していないって事ですから。いや、あるいはキャパオーバー時に670nm蛍光を発するのも、実はブルー光過多のバランスを取るため?と こじつけられない事も無いけど、真相は判らない。。。

しかし、そこで救世主が現れました! (元からいたけど)
それが褐虫藻が持っているカロテノイドの一種ペリジニンです。
ペリジニンは、僕は他のカロテン同様せいぜいアンテナ色素程度に捉えていたので、今まであまり焦点を当ててきませんでしたが、いまいちよく判らなかった吸収スペクトルのグラフの意味がようやく判りました。なんとこの子、ワイドブルーバンドな吸収スペクトルを励起源として、670-680nmのディープレッド蛍光を発するんです!

ペリジニンのディープレッド放射スペクトル

* COLUMBIA BIOSCIENCES記事より引用

これまた衝撃的!
蛍光を発するのは、蛍光タンパクだけじゃないってことだぜ♪
やはり人間ごときが何億年もの歴史を持つサンゴの心配をするなんて烏滸がましいぜ!
我々が危惧するまでもなく、彼らは必要なモノを獲得する術を多岐に渡り持ってるぜ!

以上の事から、やはり褐虫藻は赤の波長の届かない水深でも光合成効率を確保するため、従来のように蛍光タンパクRFPやDRFPによる670-680nm波長補完はもちろんのこと、ペリジニンのディープレッド蛍光670-680nmの恩恵も受け、適正な光合成を営んでいることが推測されました。ま、クロロフィル蛍光の670nmの恩恵は定かではありませんが、少なくともこれで十分な深赤波長の確保が成されていると考えられるでしょう。
ただ、これらはLED照明に深赤波長660-670nmを採用することを否定するモノではありません。あくまでも適度な量の範囲であれば、十分に補助を果たすと考えられます。多すぎはダメですが。。。ただ、過保護は本来の姿を衰退させる要因にもなりますから、注意深い観察は必要です。

と言う訳で、褐虫藻の持つ色素構成は、およそ以下のようになります。

褐虫藻が持つ色素あれこれ

それらがトータルで構成する褐虫藻全体の吸収スペクトルはこのようになります。

褐虫藻の吸収スペクトルの構成

* Advanced Aquarist記事を参考

よって、サンゴのため/褐虫藻のためのLED選びとしては、まずは褐虫藻の吸収スペクトルをどれだけカバー出来るかを念頭に置くと良いでしょう。

もちろん、蛍光タンパクの働きも忘れてはなりません。
特にLED照明で不足しがちな400-420nmのUV域を確保すれば青系蛍光タンパクはギラギラ維持出来ますし、上記の深赤660-680nm要求を補完する赤系蛍光タンパクの存在を意識することで、LED選びの目はより確かになっていきます♪

蛍光タンパクの要求と恩恵

  • ブルー蛍光/シアン蛍光/褐虫藻のためにも400-420nmのUV域を確保
  • 深赤660-680nmはサンゴ(褐虫藻)が確保するので意図した追加は不要
    (但し、演色性(発色)の向上には寄与する)

あとは、省エネ性、光量、機能性も視野に入れて、じっくりと選びましょう♪

では、次回からお勧め最新LEDシステムライトを順にご紹介していきます!
今回の予備知識も活かしたグラフ作りになってるので乞うご期待♪

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20155月13

蛍光タンパクの補足:確立された技術

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GWは皆さんあちこち旅行に行かれたようで、裏山しぃ~裏飯ぃ~。。。
ちなみに僕のGWは映画三昧でしたょ。。。泣
まあ、寄生獣<完結編>は面白かったけど♪

蛍光タンパクって、既に確立された技術ですよ?

特にカラーレポートの公開以降の話ですが、

独自で蛍光タンパクの特性を発見して凄いですね!

とか、

個人で調べた蛍光タンパクの特性って正しいの?

など、そんなご意見は、、、

想定外ですっ♪キリッ(笑)

だって、蛍光タンパクなんて、いまさらの堅~い技術ですよ?

そう言えば、今まで紹介してきた蛍光タンパクの励起スペクトルも発光スペクトルも、それがサンプルや実測値に関わらず、肝心なこと書き忘れてたのかしら?
と言うことで、今回は前回の投稿への簡単な補足のための投稿です。

バイオイメージングの世界で取り扱われる蛍光タンパク

まず、今まで僕がご紹介してきた様々な蛍光タンパクについて、ここで初めて見られた方、他では見たことがなかった方、にはすみません。これらは僕が発見し、僕が提唱している、と言う大それたモノでは決してありません(汗)。僕のやってきたことは単に、既知の蛍光タンパクを実測データの検証から存在確認したに過ぎないのです。
ま、白色蛍光タンパクはいつか見つけたいと目論んでますが♪笑

はい。蛍光タンパクは、特に近年のバイオイメージングの世界では常識の存在です。
例えばちょっと探せば以下のような情報がゾロゾロと出てきます♪

1. The fluorescent Protein (FP)

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

2. Basic fluorescent proteins

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

3. Review: Lighting up cells: labelling proteins with fluorophores

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

4. Box 2 | Genetically-encoded fluorescent proteins used in mice

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

5. DNA2.0(DNA)社 Protein Paintbox™

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

6. Evrogen社 蛍光タンパク質ベクター

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

* いずれも左が励起スペクトル、右が発光スペクトル
各サイトからグラフを拝借しました (一部見やすく加工)

いずれも代表的な蛍光タンパクの励起スペクトル(左)と発光スペクトル(右)です。
見ての通り、タイプ(発色)によりその励起スペクトルも発光スペクトルも大まかに決まったパターンがあり、それらは過去に僕が紹介してきた実測データとおよそ同じモノです。

そう、これらのタイプ・特性は、専門機関が取り扱っている確立された技術なのです。
そして、これらの蛍光タンパク商品の出所は、はい、そもそもサンゴ由来なんです♪
サンゴから抽出された蛍光タンパクを元に改良を加え、各分野で利用されているんです。
例えば、バイオイメージングの用途では、細胞間をどのようにタンパク質が移動しているか、励起波長を当てればその位置が一目瞭然、細胞を破壊することなく変移を捉えることが出来ちゃう、とても革命的なツールとして活用されています。

では、そもそもサンゴは何故蛍光タンパクを持っているのか?
それはこれまでにも何度も説明してきたとおりです。UV防御然り、波長補完然り。
最近では抗酸化作用を持つ事も判ってきました。
以下の投稿の熟読もオススメします。

  1. 新春♪オージースペクトル大公開! - 2015/1/11
  2. 蛍光タンパクのロジカルカラーマネジメント - 2015/02/13
  3. 論考1:サンゴと褐虫藻の問題提起 - 2015/2/19
  4. 論考2:サンゴのアミノ酸取り込みの意味 - 2015/2/20
  5. 論考3:サンゴのアミノ酸生合成 - 2015/2/21
  6. 論考4:サンゴの蛍光タンパクとアミノ酸 - 2015/2/22
  7. イチゴ先生の蛍光タンパク講座 - 2015/4/29

そうした蛍光タンパクを我々アクアリストは何故維持したいと考えるのか?

色彩の観賞のため?
もちろん必要な波長を当てないと発色しませんから観賞にもなりません。

サンゴの健康のため?
現時点では、それも正解と言えるレベルまで情報が出揃ってきたと言えるでしょう。

蛍光の発色に関する勘違い・疑問など

あ、その前によくある勘違い?疑問?を解決しておきましょう。

  • ブルー光を当てなくても、白色光だけでも蛍光グリーンは緑色に見えます!
    白色光にはブルー光が含まれています。
  • ブルー光を当てなくても、白色光だけでも蛍光レッドは赤色に見えます!
  • 蛍光ブルーにわざわざUV当てなくても、海ではブルーに見えてる!
    海は普通にUVが当たってるからこそ、蛍光ブルーは青く発色しているのです。
  • UV当てなくてもうちの蛍光タンパクは維持出来てます!
    蛍光グリーンや蛍光レッドは、ブルー光だけでも発色や維持は出来ます。しかし、蛍光ブルーや蛍光シアンは400-420nmがないと発色も弱く維持も困難です。
  • UV当てなくてもうちの蛍光ブルーは維持出来てます!
    それ、蛍光ブルーじゃなくて色素ブルーかと。蛍光ならギラギラしてます。
    あるいはT5でもActinic球を使えば蛍光ブルー衰退の歯止めは可能です。
  • 観賞時は見えないけど、UV当てればちゃんとグリーンに発光してますから!
    てことはUVリッチな自然下なら何もしなくてもグリーンに発色してるはずです。わざわざUV当てないとグリーンが出ないってことは、平常時の光環境にUVが足りてないってことです。要するに、それじゃ自然下での発色が観賞できてないってことです。
    もちろん、励起波長が不十分なせいで蛍光自体が衰退したことも含まれます。
  • そのうちストロベリーが赤だけになりました、スパが単色になりました、等
    だから言ったじゃないの。。。

蛍光タンパクは種類によって要求波長が異なります。そもそもシステム自体が、蛍光ブルーや蛍光シアンの存在を見落としているケースすらあります。また、そうした要求の異なる群をただ“蛍光タンパク”と一括りにしたり、それに対してアレが要る・要らない等と一緒くたに割り当ててしまうと、ある蛍光タンパクには当てはまっても別の蛍光タンパクには当てはまらない状況を生み出してしまいます。
「蛍光タンパクはUV当てたら光る」、みたいな曖昧で単純な認識は今日で捨て、

  • 蛍光ブルーBFPには → 400nm前後のUV光
  • 蛍光シアンCFPには → 400-420nmのUV光
  • 蛍光グリーンGFPには → 450-480nmのブルー光
  • 蛍光レッドRFPには → 480-520nmのシアン光

のように、それぞれの要求を今日から正しく認知しましょう。

蛍光タンパクの要求に対する応答方法

まず、上記に挙げた各種蛍光タンパクの励起スペクトルから以下のことが判ります。
蛍光タンパクの発光に必要となる波長範囲です。

蛍光タンパクの励起発光に必要な主な波長範囲

これは、実に単純明快な理由です。
それは、海中に最も多く届いている波長だからです。
海中では深度を増す毎に、UV(350nm以下)と(600nm以上)が減衰します。
さらに深くなると、UVは390nm以下、緑は520nm以上で大きく削られていきます。

黒潮域の海中スペクトル

結果、この390-520nmのブルーバンドが海中を支配しています。
必然的に、サンゴはこれらを最も多く浴び、これらの影響を強く受けています。
その結果が、UV防御であり、波長補完である訳です。

また、蛍光タンパクのタイプ(色)によって、その要求する波長帯域は異なります。

各蛍光タンパクの励起発光に必要な波長帯域

このことからも判るとおり、何故サンゴがそのような色彩を放っているのか?
すべてが必然なのです。
よって、その色彩を自然下と同じように発色させたいなら、当然ですが自然下と同じ必然を与えてやれば良いのです。それが各種蛍光タンパクの要求波長範囲なのです。そしてその必然を与え続けることが、蛍光タンパクの「サンゴにとっての必要性」の継続へと繋がり、結果色彩が維持されるのです。

フルスペのスペクトル理論は、この要求波長範囲を天然下のように与え続けることです。
また、T5蛍光灯でもActinic球を増やすことでシアン蛍光タンパク維持の可能性が見えてきます。また、レッド蛍光のためのシアン500nm帯域不足は、蛍光灯特有の突出した540nmのグリーン光が代用を果たします。それでも足りないならLEDスポットがあります。

蛍光タンパクの要求に応える人工光源の補完例

要するに、サンゴの蛍光タンパクの発色・維持は、既存の光化学に従うだけなのです。
それは最近流行のトリトンと同様、「水槽の水質環境を天然の海水成分に近づけよう」と言う理屈と同じことです。
きっと、そろそろ気付き始めた方も増えてきたはずです。

水質は執拗なくらい忠実に再現してきたのに、
なんで光環境・波長は無視してきたんだろう?

もちろん、サンゴの種類に合わせて、それで要求が満たされるなら良いと思います。
しかし、サンゴの要求を無視して不十分な環境を押しつけるのは、ただの虐待です。

蛍光タンパクの要求を無視した人工光源の例

ましてや科学を無視した根性論なんて、サンゴもアクアリストも必要としていないのです。

オマケ

現象には必ず理由がある。 (BGMはこちら)

現象には必ず理由がある

根拠の明確な理論に基づいた数多くの実践と成果。それをねじ曲げることなどできない。
もし覆したいなら、それ以上の根拠と理論、そしてその成果を証拠に示せば良いだけだ。
あるいは、そもそも否定したい理由が科学とは別にあるなら、一般消費者にとってこれほど迷惑な話はない。鬱憤? 遺恨? 販促? 実にくだらない。。。

科学に従うことは、実に簡単だ。
例えば、

石灰化に必要だからカルシウムを与える

今じゃすっかり常識となっている科学だ。
間違っても、カルシウム抜きで石灰化頑張ってみるぜ!なんて、もはや今更あり得ない。
それと同じ事が、蛍光タンパクでも判明しただけのこと。

蛍光タンパクに必要だから励起波長を与える

ただ、一般的な照明ならば、励起波長のうちブルー光は必ず満たされている
そのお陰で、蛍光グリーンや蛍光レッドは一般照明でも問題なく励起できる。
問題なのは、UV域400-420nmの欠如に対してだ。
そのせいで、蛍光ブルーや蛍光シアンは十分に励起することができない。
従って、さらに具体的に表現するなら、

シアン蛍光タンパクに必要だから400-420nmを与える
ブルー蛍光タンパクに必要だから400nmを与える

となる訳だ。
実にシンプルで明瞭な科学だ。

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コンテンツ

スペクトラ LEDスペクトラ解説