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すべての答え:蛍光タンパク篇

マリンアクアリウム エイジ 07:37
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前回のすべての答え:トゲピンク篇に引き続き、今回は蛍光タンパク励起波長、そして蛍光の発光量に関するトピックスです。またまた先日紹介したすべての答え第一弾からデータを抜粋して、判りやすくご紹介しましょう。蛍光スペクトルのグラフの見方が判らなかった方もこの記事を参考にしてください。

今回のサンプルにはスパスラタ・グリーンをチョイスしました。

スパスラタ・グリーン

この個体は蛍光励起範囲が広く、下は370nmからガンガン発光していました♪

暗闇で370nmのみを当てた写真がこちらです。
また、被写体が判るように明るく補正した画像を下に並べました。

すべての答え第一弾での370nm励起実験

左から4番目がスパスラタ・グリーンです。光り輝くようなCFP(シアン蛍光)!
ちなみに、左から2番目のストロベリー・グリーンもガンガンの発光量ですね♪
また、右4番目のスギノキ・ブルーはちょっと青めのBFP(ブルー蛍光)なのが判ります。
その他の個体は、さすがに370nmは波長が低すぎてほとんど反応しませんでした。

このスパスラタに各波長(370/400/425/450/475/500/520nm)を当てて反射スペクトルを測定したものがこちらです。各波長の放射照度(光量)はおよそ揃えてあります。また、縦軸は単位がありませんが波長強度を表しています。

各波長によるスパスラタ・グリーンの反射スペクトル

もはや専門の研究機関でしか見られないようなデータですが、まさかこんなものを自分で採ることになるとは。。。

判りやすく各波長毎に分けたものがこちらです。

370nm照射時の励起スペクトル

370nmによる反射スペクトル

左側の突き抜けた波長が蛍光の励起源となるLEDの波長、右側の小さな波長が励起された蛍光スペクトルです。尚、励起波長強度に比べ蛍光強度はかなり小さいため、励起波長をかなり大きく引き延ばしています。

400nm

400nmによる反射スペクトル

370nmと同じ出力でも、400nmの方が蛍光の発光量が多いようです。

425nm

425nmによる反射スペクトル

400nmよりも425nmの方がさらに発光量が大きいようです。

450nm

450nmによる反射スペクトル

450nmだと発光量は小さくなり、また450nm自体に飲み込まれて判別不明(笑)

475nm

475nmによる反射スペクトル

完全に同化。。。

500nm

500nmによる反射スペクトル

追い越しました(笑)

520nm

520nmによる反射スペクトル

・・・。

以上の結果から、これら7種類のLEDのうちグラフから発光成分がなんとか読み取れたのはギリギリ450nmまでで、それ以上の波長では読み取れませんでした。また、450nmで励起された蛍光スペクトルも450nm自体のスペクトルに大きく被るため、便宜上この蛍光タンパクを励起できた波長は370nm/400nm/420nmの3種とし、励起波長範囲を370-425nmと判定しました。ま、どのみち450nmなんてどの光源にも絶対的に含まれてる波長だし意識するまでも無いかと。

そして、その発光スペクトルのみを抜き出したものがこちらです。

反射スペクトルから得られた蛍光スペクトル

これにより、この蛍光タンパクは485nmにピークを持つCFP(シアン蛍光)であることが判ります。また、励起源の波長によって、その発光量に差があることも読み取れますね。
縦軸に単位が無いので、仮に目盛りの数で言い表すと、

  • 370nm照射時・・・2目盛りパワ~!
  • 400nm照射時・・・4目盛りパワ~!
  • 425nm照射時・・・6目盛りパワ~!

(笑)

もっとも強く反応したのは425nmでしたが、UV 370nmや400nmにさえもこんなに大きく反応している点からも、如何にスパスラタがUVに貪欲なのかが想像できます(笑)

で、ここからが本題。

確かにこのスパスラタの蛍光タンパクはUVにもバンバン反応しているとは言え、最大要求が425nmにあることからも、これを維持するには、最低限425nm前後を含む照明さえあれば、まずは事足りそうだと推測できます。例えUVが無くとも、実際それでそれなりに維持できることも判っています。て事は、RazorでもT5でも理論上、全然許容範囲です。

その上で、よりUV系波長を必要とするVFP/BFP/CFP等の蛍光タンパクに対して、

  • 自然下のような発光量を再現したい!
  • 今よりもっと強く発光させたい!
  • なんかどんどん褪せていく…

以下は、そんなお悩みを持つあなたのためのヒントとしてお役立てください。

各波長を個別に与えた際の発光量と、それらの波長すべてを含む光源を与えた際の発光量を比較した場合、後者は単に前者を積分(総和)した値とおよそ等価になります。
(厳密には非連続スペクトルによる誤差が生じるため発光量は前者総和<後者)

蛍光スペクトルの積分値

もし照明に含まれる波長の下限が425nmまでの場合、発光量は約6目盛りパワー!
400nm~425nmが十分に含まれる場合、発光量は4+6=10目盛りパワー!
370nmまでも含んでいれば、発光量は2+4+6=12目盛りパワーにもなりますね!

そうか!
425nmだけ当てるよりも、
400nmや370nmも全部当てた方が、
それを要求する蛍光タンパクにとっては、
より大きく発光できるに決まってるじゃないかっ!!!

それが、波長を持つ製品と持たない製品との差です。
あとは、その波長の光量が大きな照明ほど、蛍光の発光量は増していきますね。
逆に言えば、例えせっかく波長を含んでいても光量が弱ければ。。。

以上のヒントから、照明の最適化に励んでみてください♪

以下、独り言。
スーパークール? 何やってもダメな個体ならトライする価値は十分にあると思うよ。。。
370nmは無理だけど、KR93XP/KR93SPなら380nmから立ち上がってるよ。。。
現物はまだ未確認だけど新Illumagicには仕様上400nmが入ってるよ。。。
出力は弱いけど、Kessilの隠し味には380-390nmが入ってるよ。。。
スポットならLeDio RS073 ReefUVVitalWave Violetにも400nmが。。。
これ以外に370nmや400nmの入った製品ってあったかなぁ。。。

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