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BioPellets実験:経過6/10~6/12

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6/9から開始したBioPellets実験の6/10~6/12までの経過報告です。
若干のトラブル(汗)もあったものの、比較的順調?に進んでおります。

まず、開始時の実験方法をおさらいします。

各実験槽の様子

  • A槽は、海水と砂のみで曝気。
  • B槽は、海水と砂、そしてバイオペレットと曝気。
  • C槽は、海水と砂とビオアクア、そしてバイオペレットと曝気。

実はここで少しトラブルがありました。
A槽はエアストーンにより十分な曝気と対流が得られますが、B槽とC槽はエアの用途を流動フィルターの撹拌にウェイトを置いたため、槽自体の曝気や撹拌(水流)がかなり足りていませんでした。その違いが2日目の結果に大きく出てしまいました(汗)
そこで2日目に急遽流動フィルターの設計を変更し、流動フィルターの循環量を増やし、槽への戻りを大きくしました。これにより、A槽並みとはいきませんが、ある程度はB槽C槽共に曝気と対流が得られるようになりました。
その辺のことも踏まえ、以下の経過報告をご覧ください。

6/9 バイオペレット実験開始

送られた海水の栄養塩

開始時の各水質は、硝酸が50ppm以上、リンが0.25ppm程度。

6/10 バイオペレット実験 2日目

6/10の水質比較

注:目のマークは画像では伝え難い目視による微妙な比色の濃淡差を表したものです

画像では判りにくいが、硝酸塩はAがやや低くなり、BとCは特に変化が見られなかった。とは言え、依然と50ppm以上はありそうだ(汗)
また、リン酸塩はハッキリとAが薄くなり、やはりBとCは変化が見られなかった。
このことから、Aと同じ条件を持つはずのBとCに曝気と撹拌が足りないと判断し、条件をそろえるため流動フィルターの構造を見直して改善してみた。
ちなみに砂だけでも硝酸・リン共に処理能が高いことが改めて判った。なるほど。うちの5L水槽でもリンが出ない訳だ。PAO(脱窒性脱リン細菌/D-PAO)が普通に働いているのだろう。但し、これではバイオペレットの実験結果としては困る(汗)

6/11 バイオペレット実験 3日目

6/11の水質比較

前日の改善は、すぐにリンの挙動に現れた。Cが一気にAを抜き、BもAに追いついた。
但し硝酸塩は依然とAが好調。Bは少し差を縮めてきたが、Cが依然と高いままだ。
これはきっと、C槽に入れたビオアクアが栄養負荷になっているのだろう。1Lに対して耳掻き3杯は多かったかなぁ・・・汗

6/12 バイオペレット実験 4日目

6/12の水質比較

なんと、B C共に早くもリンが消滅してしまった(汗)。これがバイオペレットの威力なのか!? あのツブツブを僅か2ml分入れただけなのに! 凄ぇよ凄ぇよっ!
とは言え、硝酸塩は初期値が高すぎたかな。。。まだまだ道は長そうだ。。。汗
ちなみに硝酸は見た目いずれも50ppm以上の高い値を示して見えるが、正直に言えば、試薬投入後に真っ先にCが赤く反応するため、Cが最も高いのだろうと思う。
ただ、Bはこの時点で、Aにほぼ追いついたようだ♪

また、4日目の今日は面白いことを発見した。
C槽にシアノバクテリアが発生したのだ(汗)

C槽に発生したシアノバクテリア

ビオアクアはバクテリアと共に栄養負荷となるオカラが入るので、一長一短があるようだ。よく考えて使用しないと諸刃の剣となるだろう。また、間違った評価を生まないためにも、短絡的な考察に注意して、結果を見極める目を養いたい。少なくとも水量に対して適切な添加量に心がけていれば、決して問題は無いだろう。

そして、ここで更に深く考えてみる。
一般的にシアノはリンが高いと出やすいと言われるが、今日のリンはA槽がもっとも高い。と言うことは、A槽にシアノが出ても可笑しくは無い。しかし、A槽にもB槽にもシアノは出ていない。出たのはC槽だけだ。
さあ、何故でしょう?

リン試薬で測定されるのは水中を漂う溶解性のオルトリン酸であり、沈殿している不溶性リンは検出できていない。そのため、海水中のリンはゼロでも、沈殿したリンは存在していて、シアノはそれを利用していると言うことになる。また、A槽とB槽にシアノが見られないのは、C槽のビオアクア由来のバクテリア量に負けていること、更にビオアクア由来の栄養源(炭素)が存在しないからだろう。これはPAOのような脱窒菌の性質でも判るように、活動に必要な炭素源があってこそ、リンを吸収し、脱窒を引き起こすと言える。シアノについても、オカラとリンを元に成長が促進されているのだろう。総合的に見てC槽では、ビオアクアの栄養源をベースとして、より活発に各バクテリアが活動し、B槽以上にリンの吸着・沈殿(一極集中)に繋がっているとも考えられそうだ。

本日までの結果としては、

  • A槽は炭素源が無く、砂面で僅かに反応が見られる程度。特に今は、リンの減少率が鈍ったことからも、初期の僅かな炭素源も使い果たした感がある。
  • B槽も同様だが、バイオペレットによる反応が活発であるため、リンは減少を続ける。
  • C槽はB槽の反応と合わせ、一見ビオアクアによる栄養負荷が高く感じられるが、それ以上にバクテリアの活動が活発であり、最終的なリン低下に大きく寄与している。

こんな感じかしら。

まずは、リン処理についての結果は既に出たと言って良いと思う。
バイオペレットによって、明らかにリンは速やかに処理されたわいな!
しかもこんなに早いとは意外だった。もし曝気と撹拌のミスが無かったら、更にもう一日早く結果が出ていただろう。恐るべしバイオペレット!!!
但しこれは、立ち上がっていた海水と砂を用いたことで、必要な細菌群が満たされていたことにも起因するだろう。立ち上げ直後の水槽へバイオペレットを導入する際には、やはり少し時間を見た方が無難だと思われる。
また、C槽の結果からも判るとおり、ビオアクアによるバクテリアと炭素源の供給は少なからずリン処理に役立ったと言えるでしょう。ただ、B槽でもそれなりの結果が出ているので、無理にビオアクアを併用する必要性は感じられない。もしそれでも併用するなら、ご利用は用法・用量を守って正しくお使いください♪

さて。硝酸があまりに高すぎて気が遠くなるので、しばらくしたら一旦リセットして、少し希釈した状態から再開しようと思います(汗)
引き続きお楽しみに♪

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