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20156月09

Apogee MQ200の値の補正方法

マリンアクアリウム エイジ 13:30
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お待たせしました!
最新LEDシステムライトの調査結果の発表~!!!

最新LEDシステムライト

・・・の前に、もうひとつだけ予備知識の講習をお願い致します(汗)
それは、PPFD(PAR)メーターでのPPFD測定値の補正方法についてです。
あ、でも測定器に興味にない方はスルーされてOKです(汗)

今回の調査では、あるルールに従って大量に(笑)PPFDを測定しています。そして、その測定には、現在アクア業界でもメジャーで安価なApogee社のMQ-200を用いました。

PPFD測定風景

しかし、安価なだけに、実はちょい癖があります(汗)
ザックリ言うと、多くの場合、測定する光源によって測定値が低めに表示されるのです。
その理由は、MQ-200に採用されているセンサーSQ-110の応答特性にあります。
以下、Apogeeから取り寄せたSQ-110センサーの特性グラフです。

Apogee MQ200のセンサーSQ110のレスポンス特性

一般的に光合成有効放射PARは400-700nmの波長範囲を対象としていますが、このセンサーの特性からも判るとおり、300-400nm間でも右肩上がりの弱い応答があり、また400-470nm間は実際の値より少なく見積もられますが、逆に470-650nm間は110%程度に多く見積もられ、最後650nm以降はバッサリ切り落とされた特性になっています。
実はこれ、SQ-110センサー自体の特性に加え、T5のクールホワイト蛍光灯の測定に最適化(校正)するため、SQ-110センサーのレスポンスに対して10%程度の係数が掛かっています。470-650nm間の応答が100%を越えているのはこのためです。これらの事は以前からもよく知られた内容でしたが、今回改めてApogeeに確認を取りました。

MQ200の測定値に関するApogeeからの回答は以下の通りです。

  • T5 Cool White蛍光灯に最適化されている
  • 最大で約25%程度のロスが生じる (その場合、表示の約135%が真値)
  • 太陽光測定用の”SUN”モードは、”ELEC”モードの値を約114%にした値

だそうです。なるほど。
そこで、細かく検証していきましょう。

まず、最適化に用いられたと言う「クールホワイト蛍光灯」に近いと思われる一般的な昼光色6500Kの3波長白色蛍光灯でのSQ-110センサーの応答スペクトルを計算してみました。

三波長型白色蛍光灯6500KのSQ110レスポンス

注) 以下、グラフ中のMQ200は各光源スペクトルにSQ110の応答を掛けたモノです

はい。確かにほとんど誤差は出てません。
実際の校正用蛍光管なら、きっと99%を越えるのでしょう。

続いて、似たようなスペクトルのATI Aquablue Specialです。

ATI Aquablue SpecialのSQ110レスポンス

ちょっと下がったけど、まだ余裕で90%台を保持しています。どうやらこの調子なら、白色蛍光灯を測る分には、さほど測定値の誤差は気にしなくても良さそうです。

一方、「最大25%のロス」って、多分、太陽の時かしら?
と言うことで、太陽光のスペクトルでも計算。

太陽光のSQ110レスポンス

おお~。やはりガクンと減衰しました。でもまだ20%程度ですが。。。
ま、太陽光スペクトルは測定条件でコロコロ変わるので、そんなもんでしょう。。。
それに、670-700nm間のカウント次第でも違ってくるし。

ちなみに、あり得ないけど、全波長の理想光源でも計算してみました。

全波長光源のSQ110レスポンス

さすがに、この場合は減衰量が30%を越えました(笑)
それに、670-700nmを除けば約73%程になるので、やはり最大25%のロスと言うのは妥当なところでしょう。

最後に、LEDシステムライトも計算しました。
まずはフルスペ

KR93SPのSQ110レスポンス

げっ。10%以上ロスしてる。。。きっと400-420nmのUV域が多いからだろうな。。。
これは補正しないとアカン!

では、Radionはどうだ?

Radion ProのSQ110レスポンス

げげっ。フルスペほどUV域が無いのに同じ減衰率!
670nm前後の損失もなかなか大きいってことか!
じゃ、もしUV域や深赤域を持ってないなら、ここまでは減衰しない感じかな?

以上の事から、Apogee MQ200で各光源を測定する際は、

  • 蛍光灯・・・”ELEC”モードで測定した値がおよそ正しい
  • LED・・・・・”ELEC”モードでの測定値を約110-120%にした値が正しい
  • 太陽・・・・・”SUN”モードで測定するか、”ELEC”モードを114%にするべし

こんな感じになります。
とは言え、厳密にはスペクトルのカーブ形状に依存するので、できればスペクトルデータを用いて係数を割り出すことが理想ですね(汗)

いや、待て。。。

ホントの理想は、高価で正確なPPFDメーターで測る事だろう(苦笑)

そう、例えばスペクトロメーターベースのPPFD測定機能なら、MQ-200のような応答ムラもないから、かなり精度が高い。しかもデータが波長毎に分割されているので、PARの波長範囲を400-700nmや350-700nmのように後から自由に積分することも可能。
ま、欲しいけど買えません。。。汗

実は今回、最新LEDの調査結果をグラフ化するにあたり、PARの分布グラフに関してはドイツのHenning氏のフォーマットを採用しました。彼はgetSpec 2048というスペクトロメーターを用いて、スペクトルPAR照度を測定されていて、これまでに非常に多くのLED製品を測定し、グラフを公開されています。僕もその考えに共感したので、同じフォーマットでグラフを作り、世界的にデータを共有できたら良いな~と考えました。PARの分布特性と、PAR/Wattという効率表記が、とても判りやすくて有用なグラフなんです。

また、彼はMQ-200も使っており、今回の誤差に関しても検証記事を書かれてます。
ただ、その内容は製造元のApogeeの主張とは真逆に食い違っていて、当初は混乱しました(汗)。でも、僕も散々検証した結果、Apogeeが正解だという結論に行き着いたので、以降のPARグラフには今回の補正方法を反映させてます。一方彼は「MQ-200は実際より大きな値が出ている」という主張ですが、理論的に計算していくと決してそうはならない。きっと、彼のスペクトロメーターの校正ズレ、MQ-200の故障or電池消耗、光源のスペクトルの特異性、測定距離のミス、、、どこかに原因はあるんだろうけど、実際に現物を検証してみないと流石にこちらでは判りません。。。

実はグラフのフォーマットの件でHenning氏とメールでやりとりしてた矢先、偶然にも同じチームのRonny氏ともfacebookで知り合う機会があり、彼からも色々と技術的なアドバイスを受けました。波長関係で濃ゆい話ができる仲間が今まで居なかったので、超テンションマックスです♪笑
但し、ドイツ語→英語←日本語なので、話が半分くらい減衰してますが。。。
補正しないと(爆)

では、今度こそ最新LEDシステムライトの調査結果に続きます!
お楽しみに~♪

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