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懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

サンゴ成長記録:2011/03

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いやぁ、スギノキブルーが、もうこんなに大きくっ♪

うちに来る前のスギノキブルーの状態

と言うのはウソで、この写真は年末に某Y氏から譲り受ける前の、Y氏の水槽で撮影されたスギノキさんです。敢えてフラッシュ撮影画像と並べたのは、スギノキブルーの発色が近紫外線励起による青蛍光やシアン蛍光による割合が大きいとお伝えするため。
ところで、蛍光抜きで青い個体ってどれくらいいるのかなぁ?

ちなみに僕の当時の水槽の写真を引っくり返したら、通常撮影とフラッシュ撮影のスギノキの画像が一組だけ見つかりました。おおお。これは貴重だ♪

2001年8月飼育時のスギノキブルーのひとつ

とは言っても、フラッシュの届きがいまいちで、まだかなり青く写ってますね。まあ、水面直下ですし、10000K/250W+SCのUV量がハンパないせいもあるのでしょう。
それにしても当時は小型水槽とは言ってもサンプ込みで200L程あった訳ですし、考えてみたら今の5Lよりは格段に環境値も良かっただろうなぁ。。。それに比べたら今の5L水槽は本当に虐待ですね。。。まあ、実験水槽ゆえ。。。

さて話を現代に戻して、その某Y氏のスギノキの嫁入りから早3ヶ月。
色々悩みはありますが、とりあえず今のうちに遺影・もとい飼育記録をば。

スギノキブルーが来て3ヶ月

上はうちの照明システム全灯(太陽光LEDシステム+補助UV+Blue)をホワイトバランス:太陽光でそのまま撮ったもの、下はホワイトバランス補正+フラッシュです。

悩みと言うのは、スギノキブルーがどんどん白化?していること。褐虫藻が益々抜けて、これって要するにZEOvit状態なのかしら。。。ヤドカリの給餌量増やしてせっせと栄養塩増加に努めてますが、なかなか栄養塩が出てくれません(汗)

また、黙ってましたが、実は1ヶ月ほど前に、ちょいやらかしてしまいました。なんと自動給水のフロートの誤動作で給水回路が通電しっぱなしになって、僕が起きて気づいた頃にはRO水タンクが空っぽになって水槽の水位がいつもの倍になってました(泣)
まあ、幸い元々の水位が低かったことと、タンクの残量が少なかったお陰で水漏れは回避しましたけど、当然比重は汽水より低い状態だし、丈夫なエダコモンでさえ萎縮してる始末。。。慌てて換水しましたけど、どうも生物相も壊れちゃったみたいで、あれ以来ガラス面に茶ゴケが出るようになってしまいました。。。泣

そんなこんなもあって、尚更スギノキの調子が芳しく無いのでしょう。。。
まあ、仮にZEO状態だとしても、数日前に照明を離して照度を少し下げましたし、これで少し様子を見ようと思います。
あと、そろそろ添加剤とかアミノ酸あたりも考えた方が良いのかなぁ。。。

おまけ。各サンゴの活着ぶり。

各ミドリイシの活着状況

エダコモンならあっと言う間に岩を覆っていくことも珍しくありませんが、このスギノキもなかなかのもんでした。とても過酷な実験水槽を感じさせないタフさぶりです。
ただ、こうしてアップで見るとよりハッキリ判りますが、やばいくらいスケスケです(汗)
しかも最近気づきましたが、何故かポリプがパープルに。。。
なんか、この傾向、イヤなこと彷彿させるなぁ。。。
ケントパパミドリイシも最期はこんな路線だったんだけど。。。大汗

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コントラスト問題と照度減衰率

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDうんちく プチ実験

大雑把な話、2階のベランダで測ろうと、1階の庭で測ろうと、太陽の照度は変わりない。
ところが、メタハラやLEDなどの人工照明じゃ、そうはいかない。
まあ、水槽の場合は何メートルも水深があるわけでは無いが。。。

話を1年ほどさかのぼるが、当時僕はLED+レンズに於いて、やりすぎはコントラスト問題を生む、と豪語していた。そして無難なビーム角として90°を導き出した。集光効果も得られつつ、コントラスト問題も適度に回避できるビーム角だ。

ところで、そもそもコントラスト問題ってなんだ?

それは、レンズによる集光によって強制的に高められた照度は、投影対象に極端なコントラストを与えてしまうと言うものだ。例えば、ミドリイシの上面が超明るいのに、裏面が超暗い状態。また、ミドリイシの頭頂部には数万ルクスも当たっているのに、数センチ下の枝には数千ルクスしか当たらないと言う状況も生み出す。。。

いや、正確にはこれは、感覚的な推測に過ぎなかった。もちろん、光を絞れば絞るほど周囲への反射成分がなくなり、物体のコントラストを強くしていくのは間違いの無いところだろう。しかし後者の「数センチの照度差」と言うのは、この推測から派生した、ただの感覚に過ぎなかったのだ。

先日、水槽を眺めながら、ある悩みにため息をついた。
それは、全てのミドリイシが、ある一線を境に白化したり萎縮したりというもので、その一線とは水面から3cmほどの水深である。ここより深ければポリプも発色も状態が良いのだが、そこより浅くなるとポリプが萎縮していたり共肉が褐色化あるいは白化しているのだ。

コントラスト問題め。。。

そう思った瞬間、ふと気づいた。

ん?
これって、本当にコントラスト問題っけ?

いつものように前置きが長くなったところで、本題に入ります。
検証には、以下のLEDを使いました。

20WのLED、レンズの有無によるビーム角の違い

また、これだけでは心もとないので、エリジオンのブルーホワイトも参戦させた。
以下、各LEDのレンズあり無しの照度減衰率の測定結果である。

各条件での照度減衰率

11Wがエリジオン。各値は照度lx。

距離
[cm]
レンズ無し レンズあり
11W 20W 11W 60° 20W 90°
10 26,020 40,100 102,600 53,400
15 12,120 21,100 52,100 31,290
20 7,000 11,650 36,590 19,650
25 4,520 7,410 24,520 13,000
30 3,220 5,160 17,390 9,290
35 2,396 3,907 12,970 6,880
40 1,850 2,935 10,050 5,390
45 1,478 2,340 8,010 4,260
50 1,204 1,888 6,520 3,539
55 1,015 1,584 5,430 2,989
60 848 1,348 4,590 2,538
65 728 1,149 3,965 2,193
70 629 996 3,450 1,921
75 558 878 2,993 1,702
80 497 780 2,644 1,515
85 437 680 2,354 1,322
90 396.7 604 2,095 1,184
95 360.6 544 1,903 1,077
100 328 494 1,704 981

更に値読み取り用にピックアップしたもの。

レンズの有無による照度の減衰率の測定結果

この測定結果を基に、各条件で目的の照度を得た場合の、+5cm時との照度差を比較してみました。

目的照度 [lx] レンズ無し レンズあり
11W 20W 11W 60° 20W 90°
20,000lx 距離 12cm 15.3cm 27.8cm 19.8cm
+5cm 17cm
9,400lx
20.3cm
11,300lx
32.8cm
14,600lx
24.8cm
13,200lx
10,600lx 8,700lx 5,400lx 6,800lx
10,000lx 距離 16.5cm 21.5cm 40cm 28.8cm
+5cm 21.5cm
6,000lx
26.5cm
6,600lx
45cm
8,000lx
33.8cm
7,400lx
4,000lx 3,400lx 2,000lx 2,600lx
5,000lx 距離 23.8cm 30.5cm 57.5cm 41.5cm
+5cm 28.8cm
3,500lx
35.5cm
3,800lx
62.5cm
4,300lx
46.5cm
4,000lx
1,500lx 1,200lx 700lx 1,000lx

なんと、この結果によれば、レンズは無いよりあった方が照度差は小さいのだ!?
そう、コントラストと照度差は考え方が逆だったのだ。

そして、その集光した光の使用位置は、照明直下よりも、少し減衰率が落ち着いた当たりの距離が良いだろう。上のグラフで言えば右側のことだ。
これは、レンズの無い照明だと、照度を稼ぐためにより水面に近く設置しなければならないが、レンズさえあれば水面から離すことが可能になる、と言うことと見事にシンクロする。

要するに、レンズの無い照明をギリギリ水面に寄せて得た20,000lxは、少し潜るとすぐに照度が減衰してしまうが、レンズのある照明を水面から離して得た20,000lxなら、少し潜ったくらいじゃ照度は減衰しない、と言うことなのだ。

照度減衰率のイメージ

これは、文字通り光を光束に例えると良く判る。レンズと言うのは四方八方に広がるはずの光を狭い面積に集めて太い束にすることである。極論を言えば、光の束を太くすればするほど距離に対する照度の減衰率は下がり、ミドリイシの頭からつま先まで均一な照度で照らすことができるのだ。まさに太陽光のように。そういう意味でも、レンズオプションを出したmax-sは、つくづく賢いと言えるだろう。

ただ、実はこれは少しトリック気味に書いている。本当の問題はレンズがあるかどうかではなく、先の線グラフの右側(光源から遠め)を使うかどうかで、照度の減衰率は決まってくるのだ。その証拠に、それぞれの倍率(台数)を等価的に揃えた場合の照度をみれば大差ないことが判る。

距離 レンズ無し レンズあり
11W 20W 11W 60° 20W 90°
30cm 3,220 5,160 17,390 9,290
倍率 5.40 3.37 1.00 1.87
40cm 1,850×5.4
9,990
2,935×3.37
9,891
10,050 5,390×1.87
10,079
50cm 1,204×5.4
6,502
1,888×3.37
6,363
6,520 3,539×1.87
6,618
60cm 848×5.4
4,579
1,348×3.37
4,543
4,590 2,538×1.87
4,746

ただ、そうなると、用意すべき光量はメタハラ並みとなり、LEDなのに結局大電力食らいとなってしまう。例えば上の表からも判るとおり、エリジオンのレンズありの照度を稼ぐには、エリジオンのレンズ無しだと5.4台も必要となる。レンズがあれば一台で済むのに、だ。
とは言え、拡散・反射成分も無くすほどの狭角なレンズは推奨しない。やはり60~90°が妥当ではなかろうか。

と言うことで、照度の減衰率はコントラスト問題とは別の問題であることが判った。今後、この問題のことを、レンズが無いと水面が明るくても水底が暗いじゃん問題と呼ぼうと思う。長いか。

ところで、肝心の僕の水槽の悩みが解決していない。
仕方が無いので、とりあえず照明の高さを5cm離してみた(苦笑)
これで水面の照度は約40,000lx。
水面下3cmの個体にとっては、まだ眩しいのだろうか。。。

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LEDスペクトル合成シミュレータ LEDスペクトラ

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDスペクトラ

大変お待たせしました。遂に公開です。

ツール名は「LEDスペクトル合成シミュレータ LEDスペクトラ」です。
通称LEDスペクトラと呼んでやってください。

初期登録済みLED素子データは100ほど入れてありますが、ご自身でスペクトルデータさえ用意すれば追加できるようになってます (クッキー方式のためご自身のパソコン限定で利用可能、サーバーには保存されません)
スペクトルデータの作成方法は、波長の最大値を1とした相対値(0.0123とか)で、380nm~780nmまで5nm間隔の81ステップ分の相対値を、カンマ区切り(半角スペースや改行区切りも可)で連結したものを登録してください。
ちなみにデータシート等からのスペクトルのトレースには、こばやしさんの方法がもっとも確実でお勧めです (但し、ご紹介のソフト使用時は、塗りつぶしよりも線データを抽出させたの方が安定してるようです)

LEDスペクトラは、一応、Reef工房室所属の1コンテンツ扱いです。
不具合報告、ご要望など、なにかありましたら掲示板メールでお寄せください。

作例:

LEDスペクトラの画面キャプチャ

登録されているLED素子を全部足したものです(笑)

皆さん一押しのオリジナルスペシャルブレンドのご報告をお待ちしております♪

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