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Maxspect RazorのUV素子とレンズの修理

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今回は番外編的にMaxspect Razor R420Rの修理方法について。

Razorは、経年と共にUV素子の劣化(チップの焦げ、樹脂の焼損)やプラスチックレンズの劣化(白濁、焦げ、変形)が多く、お悩みのユーザーさんからの相談が結構あります。僕も何件か修理しましたが、今LED素子の手持ちがなくなったので、とりいそぎ器用な人向けに修理方法を簡単にまとめておきます。もちろん自己責任で。
それ以外の方はメーカー修理に出すか、最悪はへご相談ください。

劣化したRazorのUV素子とレンズ

まず、RazorのUV素子はSMD5050規格のセラミックベースにUVチップを2つ載せた独自仕様なので、普通にはなかなか売ってません。

僕も昔LEDメーカーに依頼して作った事もありますが、すでに使い果たしました。
ま、どうしても必要ならまた作りますのでご相談ください。

LED素子さえ用意出来れば、換装自体は普通にリフロー溶接でOKです。

Maxspect Razor:UVデュアルチップ素子の交換(要リフロー)

どうしてもLED素子が入手出来ない場合は、最悪Mazarra用のオプションに同型のパッケージを使ったUVデュアルチップLED素子基板があるので、それを見つけて素子だけ流用すると良いです。その代わり基板一個2000円以上してますが(汗)

ただ、このデュアルチップUV素子は海外では軒並み取り扱いが無くなったので、恐らく販売終了になった可能性があります。昔はPremium Aquaticsで買えましたが、今はAquarium SpecialityにもCoralVueにも売ってません。あるのはSiBDI社のUV素子(S35)のみになりました。なので、頑張って国内のショップの在庫を漁ってみてください(汗)

で、なんとかLED素子は解決出来たとしても、問題はレンズです。
大抵の場合、このように白濁しちゃってます。。。酷いのは茶色くトロけてたり(汗)

Maxspect Razor:レンズの劣化(白濁)

症状が軽いうちは表面をコンパウンド等で磨けば多少は軽減出来ますが、レンズ表面の変質・変形が伴ってくると、もはや交換しか手がありません。そのまま使っても光が白濁部分でロス(吸収)しますから、UV遮光=レンズ破壊エネルギーとなるだけです。

で、15mmφ×2mm程度のレンズまたはガラス板をeBayAliExpress等の海外通販で散々探し回ってみましたが、どこにもなーい!汗

そこで、たまたま彷徨って見つけたのが100均のチープなフラッシュライト♪

100均のフラッシュライト

レンズを取り出してみたら、なかなかグッド♪

100均のフラッシュライトのレンズ

まったく同じではないけど、サイズ的には代用可能です♪

100均のレンズと純正レンズの比較

違和感なし♪

100均のレンズ装着具合

バッチグー♪

UV素子とレンズ交換後の点灯具合

レンズの個数分のフラッシュライトの残骸が生じてしまう(汗)けど、まあレンズ一個100円だと思えば許容範囲?笑

ビーム角?
見てません(汗)

ただ、100均のレンズもチープなプラスチックなので、また焦げるかもなぁ。。。汗
いつかガラス板が見つかりますように(-人-)ナムナム

て言うか、Maxspectが対策品を作ってくれれば一番良いんだけどね。
これの90°仕様を作ってくれても良いし。

リフレクター120°

でもレンズ無しで反射板だけだと暗いかな。ただでさえ旧Razorは暗いから。

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世界初シアン搭載LEDスポット零号機

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懐かしい繋がりで第二弾!

今度はこれを見つけるために、先日掃除した部屋をまた散らかしました(曝)

太陽光ブレンド

太陽光ブレンド! (但し零号機は消息不明・・・笑)

太陽光ブレンドとは、
白色LEDの歪なスペクトルを、太陽光のようなフラットなスペクトルに改善するために2010年に生まれた、シアン500nm搭載の高演色白色LEDスポットです♪

久しぶりにスペクトルを測定すると、、、

太陽光ブレンド 実測スペクトル

相変わらず、良い仕事してるわぁ~♪笑

あれから5年の月日が経ちましたが、先日、久しぶりに修理の依頼がありました。
嬉しいですね~5年もお使い頂けたなんて♪
早速調べてみると、LED素子がいくつか死んでました。。。
もちろん、同じ構成での修理も可能でしたが、この5年の間にLEDもすっかり進化したことですし、せっかくですからフルスペクトル化をご提案しました。
ハタゴイソギンチャクとクマノミがメインとのことで、超浅場の水深1-3M仕様に!

LeDio 21改 太陽光ブレンド
→ LeDio 21改 太陽光ブレンド2015

太陽光ブレンド2015

但し、この素子数では目的のスペクトルが構築出来ないので、UVのみ400+425nmデュアルチップを採用しました。

そして、実測スペクトル。

太陽光ブレンド2015 実測スペクトル

完璧です!
今日も手足の如く波長を自由自在に操るLEDスペクトルデザイナー平常運転です♪笑
いやぁ~、当時はこんな高精度なスペクトルが将来作れるようになるなんて思いもしませんでしたが、ホント、良い時代になりましたね~♪

さあ、スペクトル新旧対決!

太陽光ブレンド 新旧スペクトル比較

欠落していたUV域を補完しながらも、演色性は超高演色Ra93を確保し、それでいて太陽光のようなフラットなスペクトルを実現しながら、ついでに陸上スペクトルから水深3Mスペクトルへ華麗にダイビング~!
ハタゴイソギンチャクも石垣のビーチと勘違いしちゃいそうですね♪笑

世界初シアン搭載LEDスポット「太陽光ブレンド」誕生秘話

さて、せっかくなので、太陽光ブレンドの開発秘話も簡単にご紹介しましょう。

■2010年4月

漠然とですが、LEDを使い始めてから、メタハラでの挙動と違う何かを感じ始める。
毎日明けても暮れても太陽・メタハラ・蛍光灯・LEDのスペクトルとにらめっこ。。。
UV以外にも何かが足りないのか・・・?

一般白色LEDとシアン500nmのスペクトル

シアン500nmかぁぁぁ!?

この500nm前後のシアンの領域は、色素ではカロテン系が、蛍光ではグリーンやオレンジ、レッド等が励起波長源として活用しています
(当時そこまで明確に認識してなかったけど笑)

■2010年10月

それから、市場のシアン500nmのLED素子を漁る日々が始まりました。。。

2010年当時の各社シアンLED各種

しかし、一般的にシアンのLEDの波長範囲は490-520nmと広範囲に渡ります。
運が良ければ水色、運が悪ければ緑色です。。。

シアンLED発光色

当時、まだスペクトロメーターは持ってませんでしたから、目視だけが頼りです(笑)
そして、極めて青に近い水色を当たりシアンと名付けました。
そう、欲しいのは500nm以下の当たりシアンだけなのです。。。

この時期かなり鍛えたので、今では色を見れば波長が判るようになりました(曝)

■2010年11月

で、こうした厳しい波長検査をくぐり抜けた優秀なシアンだけが、当時の太陽光ブレンドに使用されることが許されたのです♪
波長への徹底したこだわり、それは自然へのリスペクト、そして生体への愛だろ、愛♪

太陽光ブレンド 詳細(デザイン/発光色/ビーム)

当時はスペクトロメーターが無かったので、お手製分光器で撮影したスペクトルをロット毎に印刷して仕様書に添付してました(笑)

太陽光ブレンド仕様書

照度も測定して印刷してましたが、当時はまだJIS照度計を持ってなかったので、簡易照度を載せてましたね。

いやぁ、、、そう考えたら、LED素子の物色だけじゃなくて、測定器関係や調査用照明機器なんかも含めると、相当散財してますね。。。
ざっくり計算しただけでも200万超えてたし。。。わなわな
人件費入れたら更にトンデモナイことに。。。ワナワナ
しかも気前よくデータばらまきすぎ。。。WANAWANA
でも、それで誰かが喜んでくれたり、たまに励ましや感謝の言葉をいただくと、それだけでホッコリ満足しちゃう自分がいるんだよねぇ~笑
早く、お人好しの特効薬が開発されれば良いのに(曝)
商売上手な人ならとっくに何か金儲けとか始めるんでしょうけど、僕は無理ですね。

あ、太陽光ブレンドが壊れた方は、遠慮なく修理にお送りくださいね♪
メールでお気軽にお問い合わせください。

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世界初UV搭載LEDスポット零号機

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部屋掃除してたら、めっちゃ懐かしい夢の欠片を発掘しました(笑)

世界初UV搭載LEDスポット零号機

懐かしい!!!笑

これ、最近の方は知らないかもですね。当時あまり露出しなかったし。。。

今でこそ400-420nmのUV LEDはアクアLED製品に欠かせない存在になりましたが、その先駆けとなったのが、世界初UV搭載アクアLEDスポットの名の下にリリースされた、ボルクスジャパンGrassy LeDio9+シリーズでした。

で、これはそのゼロ号機です♪

そう言えば、2009年当時はまだスペクトロメーターなんて持ってなかったから、この零号機の実際のスペクトルなんて知る由もなかったなぁ。。。

早速測ってみました(笑)

世界初UV搭載LEDスポット零号機・実測スペクトル

おおお~! ちゃんと400nm出てますやん♪曝
ま、砲弾LEDの超狭角のビーム角に助けられての結果ですけどね。
測定器を少しでも傾けると400nmの存在が消えます(曝)
なんともちっぽけな零号機でした。。。笑

でも、この存在があったから、後のLeDio9+シリーズに繋がり、さらにその後の他社の追従にも繋がった訳です。ボルクスが特許縛りを控えてくれたお陰です♪汗
そうして現在、UV入りLED製品は、非常に多くのアクアリストに親しまれています。
オージーサンゴの蛍光タンパク、UVでガンガン揚がってますかぁ~?
お元気ですかぁ~?

よし。
将来、アクアLEDミュージアムが開館されたら、この零号機を展示して貰おう♪笑

世界初UV搭載LEDスポット誕生秘話

さて、せっかくなので、UV採用LEDスポットの開発秘話を簡単にご紹介しましょう。

■2009年8月

まず、僕が初めて買ったLED電球は、この東芝のLED電球でした。

東芝LEDLED電球

最初は、同じ日亜のブルー素子を取り寄せて青白スペクトルに改造したり、リフレクターやレンズを自作して光量アップなどを楽しんでいたんですが、ふと、あることに気づきました。

UVが入ってないじゃん。。。

元々僕は2000年当時、スギノキ・ブルー化計画でUVを崇拝してたUV信者でしたから、サンゴの飼育照明にUVが入ってないなんて、とても許容できるはずはありませんでした。
そして、持論はより一層強く固まっていきます。。。

LEDをサンゴ飼育に用いるならUV域を補完しなければならない!

■2009年10月

その後、UVを載せる方法をいろいろ思案し、思いついたのがこの方法↓

東芝LED電球改+紫外線LED搭載実験

だって、当時はパワーLEDのUV素子なんてほとんど売ってなかったんだもん(笑)
たまに見つけても超高価低出力プラスチックレンズの三拍子。。。汗

こうした実験は、実は当時オフレコで進めていたので、この件を公にできたのはLeDio9+シリーズの試作が完成してからでしたね。

そう、アクアLEDとUVの未来は、
すべて新型LeDio9+のUV搭載の可否に運命を託されたのです!

■2009年12月

その後、遂にLeDio9+シリーズの試作機が到着
レンズタイプ1 (クリアレンズ版)

UV搭載LeDio9試作機 レンズタイプ1

レンズタイプ2 (フロストレンズ版)

UV搭載LeDio9試作機 レンズタイプ2

* これらの試作を経て、正規版はプリズムレンズに決定しました。

これが実測スペクトル(LeDio9 PearlUV3)

UV搭載LeDio9試作機・実測スペクトル

おおお~!
安心してください、UVは無事履けましたよ♪笑
このUV補完スペクトルに、マリンアクアリウムの明るい未来を見いだしました!

その頃、ちょうどスギノキブルーの枝が調達出来たので、同じく試作したLeDio3 UV3を使って、ブルー蛍光タンパクの励起実験に着手。

スギノキブルーの青味がUVで励起されるブルー蛍光タンパクであることを発見!

はい。謎は全て解けました♪

ウスエダ・ブルーと違って、スギノキ・ブルーの多くはブルー色素タンパクを持たないブルー蛍光タンパクのみの構成であるため、白色LEDのようなUV 400nm付近の波長を一切含まない光源で観賞すると完全に真っ茶色で、まったく青く発色しなかったのです!
しかし、太陽光の元で見ると青いっ!?
やはり間違いない、アレだ!

そう、アレとは、僕が現役当時、同じくスギノキを青くすべく実践したスギノキ・ブルー化計画の仮説の元となった、UVです。

スーパークール・マリンブルーはスギノキブルーの青味を増強する

やっぱり、サンゴを自然下と同じように飼うにはUVも必須なのだ。。。
しかし、現状のアクアLEDは、青と白しか入ってない青白スペクトルのみだ。。。
このままじゃダメだ。。。危うくアクアリストが全員路頭に迷うところだった。。。
UV搭載LEDの実現は間違いではなかった!!!

■2013年5月

その後、スギノキのブルー蛍光タンパクの励起発光特性を調べることにも成功しました!
(コーラルカラーレポートVOL.1より出血大サービス♪)

スギノキブルーの反射スペクトルとブルー蛍光タンパクの発光スペクトル特性

はい。スギノキのブルー蛍光タンパクの励起には、370nmも400nmも425nmもすべて同じくらいの波長強度が必要だったのです。もちろん、スーパークール・マリンブルーには全部入ってます。
しかし、当時は370nmのLED素子なんて超高価の割に超低出力で使い物になりませんでしたので、採用は現実的ではありませんでした(未だにそんな感じですが 汗)

ではどーするか?
その分しっかりと400-420nmを入れましょう!
と言うのが、後のフルスペの波長理論のひとつになりました。
フルスペを当てるとスギノキブルーが真っ青に揚がるのは、そういう訳だったんです。
ま、その話はまた今度。。。

え?
上のスギノキのグラフ、深赤680nmあたりにも蛍光発光が出てないかって?
鋭いですね!
そんなあなたは、以前投稿した褐虫藻に焦点を当てたLED選びも参考にどうぞ♪

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