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懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

新種ホンヤドカリを確認するため江田島へ

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前回の舞鶴遠征に引き続き、先日遂に念願の江田島遠征を敢行したので、その成果をご報告しておきますね。
ちなみに、30年前の宮島修学旅行以来、自力では初めて新幹線に乗りましたよ(笑)

江田島は、広島湾の南に位置するそこそこ大きな島なのですが、今年3月にホンヤドカリ属の新種が見つかるまで、実は僕の知らない島でした(汗)

広島県江田島市

そして今回の新種は、その江田島にあるさとうみ科学館が定期的に開催している海の生物の観察会において発見されたのです。

ほほぉ!
それは参加しない訳にはいきません!!!

と言う訳で、3月以降、再び同ポイントで観察会が開かれるのを僕は首を長くして待っていた訳ですが、それが先日遂に叶ったという訳です♪

この日は干潮が16:30で、潮位が-6cmの大潮でした。
アマモ場までは、僅か膝丈の浅さでザブザブ入れました♪

アマモ場

アマモの群生は見応えがありますね。

砂地に群生するアマモ

砂地と岩場が混在するポイントにはホンダワラや他の海藻も混じります。
ここ、要チェックです♪笑

アマモとホンダワラ

お!
カイウミヒドラを宿した巻き貝です(シワホラダマシ?)
どうやら新種ホンヤドカリが背負ってる宿殻のベースは、この手の巻き貝のようですね。

カイウミヒドラを宿した巻き貝(シワホラダマシ?)

実はこの巻き貝はかなり多くて、これを背負ったユビナガホンヤドカリも結構いました(笑)

カイウミヒドラを宿した巻き貝(シワホラダマシ?)

さあ、観察会の成果です!
そう。参加者の多くは小学生です(笑)
おじさん単独参加は僕だけ。。。汗

観察会の成果発表

観察会の成果!

カシパン、ブンブク、ヒトデ、ヨウジウオ、イカ、タコ、その他いろいろ採れてました。

さあ!
果たして新種はゲットできたのか!?

ジャジャジャーン!!!

ジャーン! なんとか新種もゲット♪

タイムリミットギリギリでの確保でした~♪
危うく半べそかきそうでした(汗)

ホント、このヤドカリは普通に探しても見つからないってことを、今回痛感しましたよ。
前回の舞鶴といい、今回の江田島といい、ある特殊な採集方法がカギとなります。
それは、

  • ホンダワラ等の地味な海藻を網に受けてふるいにかけること!

そう、このヤドカリは決して砂地をのんきにテクテクと歩いてはいませんでした。
決まって体色と同色系の海藻にしがみついてるようなのです!
そのため、アマモ場の中にも見つからず、ホンダワラの中からのみ見つかりました。
道理で水中眼鏡で海中をしらみ潰しても見つからない訳だ。。。
しかも、海藻の中には毒を持つオコゼも多いので、ヤドカリ捜索も命がけです!汗
軍手を必ず着用して、くれぐれも注意しなければなりません!!!

でも、見つけ方さえ判ればこっちのもんです。
江田島、舞鶴に続いて、あなたの住まいの近くの海でも是非探してみてくださいね。
また、広島近隣の方は、さとうみ科学館の観察会にも是非参加してみてください。
参加は無料ですよ♪
さとうみ科学館へのお問い合わせはこちら。

以下、帰ってから改めて撮影したモノです。

ヒドロ虫のフワフワ帽子がカッコイイ~♪

Pagurus sp. (仮称:エタジマホンヤドカリ)

そして、ゴホンアカシマホンヤドカリと比べると、とにかく脚が長い!

ホンヤドカリ属の新種 Pagurus sp. (仮称:エタジマホンヤドカリ) 前

辛うじて前甲が隠れるほどの小さな宿殻なので、歩脚は収納できません(笑)

ホンヤドカリ属の新種 Pagurus sp. (仮称:エタジマホンヤドカリ) 後

幸か不幸か、2匹ゲットしたうちの片方が死んだため、標本撮影も抜かりなく。。。

ホンヤドカリ属の新種 Pagurus sp. (仮称:エタジマホンヤドカリ) 標本

以上、ヤドカリストの皆さんの参考になれば幸いです。
見つけたら是非おしえてくださいね♪

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ホンヤドカリ属に新種現る!

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あらやだ。。。
4月の更新がまるっと抜けてる。。。汗
そそそのかわり、今日は大大大大大ニュースだかんね!!!

凄いよ!凄いよ!
今年に入って広島と京都で相次いで見つかったよ!
なんと! ホンヤドカリ属の新種だよ!!!
ただいま千葉中央博物館の駒井先生が精査中だよ!

このホンヤドカリ、何が凄いって、

  • 貝殻をヒドロ虫で覆ってる!
  • 普通の海岸の膝下~2-3Mに生息している!

驚きでしょ?

これまでも、宿殻に巻き貝以外を利用するヤドカリとしては、

  • イガグリホンヤドカリ/Pagurus constans (Stimpson, 1858)
  • カイメンホンヤドカリ/Pagurus pectinatus (Stimpson, 1858)

などが知られていましたが、そうした特徴のヤドカリは全体のごく一部のみで、またそこそこ深場に生息しているため、普段はあまり目にする事ができませんでした。
実は僕もまだそれらのヤドカリをフィールドで見つけた事はありません。

しか~し!
今回の新種は、広島では膝下50cm程度、京都では2Mくらいで見つかりました!
しかも普~通~の海岸でですよ?
それもヒドロ虫ボディのニクイ奴がですよ??
さらにホンヤドカリ属の新種がですよ???

ホンヤドカリ属なんて、遠い昔にすっかり採り尽くされた感がありましたが。。。
まだまだ未知なる種が隠れていたんですね!!!
も~大興奮です!!!

前置きはこのくらいにして、それではご覧いただきましょう!
エタジマホンヤドカリ(仮)の入場です♪

2014/2/2に広島県江田島で見つかった個体。

とある施設の職員さんからいただいた画像です↓

ホンヤドカリ属の新種 (広島 2014/02/02)

見た目はゴホンアカシマホンヤドカリ?な形質ですが、ヒドロ虫装備&長い御御足!
凄い!凄い!
この時は全部で7個体が確認できたとのこと!

続いて2014/3/31に同じく広島県江田島で見つかった個体。

この写真のように、ちょうどカバンヤドカリしてたペアを見つけたそうです↓

ホンヤドカリ属の新種 (広島 2014/03/31)

そして、これらの個体はすぐに駒井先生の元へ送られる事となりました。
先生も大興奮~!(多分)

それからしばらくして、Facebookに同じヤドカリの写真を貼ってる人を発見!?
あらやだ! やどかり屋さんやん♪
聞いたら、ご友人が日本海で見つけてきたとのこと!!!

2014/5/4に京都府舞鶴で見つかった個体。

まさかとは思いましたが、、、同種でした!

ホンヤドカリ属の新種 (京都 2014/05/04)

もちろん、この個体も駒井先生の元へ~。。。

そして先日、やどかり屋さんがそのご友人と採集地の舞鶴へ調査に行くと言うので、無理を言って同行させていただきました! わっしょ~い♪
但し僕は現地集合で金沢からぶら~り一人旅~♪
ちなみに電車の乗り換えは初体験でしたが、ひとりで上手に乗れました♪

そしたらなんとなんと!?
まさか本当に見つかるとわっ!!!

2014/5/14に同じく京都府舞鶴で見つかった個体。

採ったのはご友人さん、見つけたのはやどかり屋さんです♪
なんのこっちゃ(笑)

ホンヤドカリ属の新種 (京都 2014/05/14)

すげえ。。。マジでヒドロ虫のマント背負ってます。。。
それも、体のサイズに合わないピチピチサイズを!
この点がイガグリホンヤドカリとは違いますね。。。

しかもすばしっこい!
スタコラサッサと、まるでイダテンヒメホンヤドカリみたい。。。
その上、体が軽いからか、ゼンマイヤドカリみたいにフワフワ泳ぎます!!!
(厳密にはエビやタコのように後退吹っ飛びロケット!みたいな笑)

ちなみにこの日、金沢-舞鶴の往復移動時間10時間、滞在時間は4時間でした(曝)

でもね、日程はまだ未定ですが、近々広島にも行く予定です。。。
6月頃には行けたら良いな。。。
乞うご期待!

ちなみに広島-金沢の移動時間は。。。怖くてまだ計算してません(笑)
ま、次は絶対に泊まりでしょうね。イヒっ♪

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みちのく南紀、水深50cmのミッション

この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル ヤドカリ散策 南紀

前回、テツオ氏の披露パーティのあと、マーグイヨコバサミを求めて南紀へ向かった訳ですが、南紀滞在中は時間はたっぷりあったので、実はもうひとつのミッションも遂行しておりました。それは一体・・・?

ここは白浜のとある海岸です。

南紀白浜

磯場の干潮タイムでは、天然のヤドカリパークがあちこちに見られます。

天然のヤドカリパーク

浅場に迷い込んだイカの子供。。。

浅瀬に迷い込んだイカ

水深5cmの穴にはギンポが。。。

水深5cmのギンポ

新種がいっぱい♪
と思ったら、イソヨコバサミの幼稚体でした(笑)

ヤドカリ

老眼のせいだけじゃなくて、なんかね、白浜のイソヨコの幼稚体は串本とは模様が微妙に違って見えるんだよね。最初の3匹くらいマジで新種かと思ったもん。。。ま、さすがに5匹超えたあたりで可笑しいと気づきましたけど(曝)

さて、目的のポイントに到着。
プランクトンの少ない、めっちゃ澄んだタイドプールです。
特に白浜は岩礁にカメノテが大量に密集していて海水の済んだポイントが多いです♪
こんだけ澄んでないと意味が無いミッションですからっ!

澄んだタイドプール

ここで何をするかというと。。。先日買ったスペクトロメーターを使って、最近何かと話題?のハナヤサイやショウガの好む超浅場のスペクトルを測ろうと思ったんだぜぇ?
もちろんMK350は防水じゃ無いので、適当な防水ケースに入れて準備OKだぜぇ♪
そして水深約50cmを徹底的に測ってみましたよ!

青空のスペクトルと海中50cmのスペクトル

陸上のスペクトルは太陽の直射日光ではなくて真上の青空に向けて測定、海中50cmも太陽には向けず青空に向けて測定しました。特に海中のスペクトルは反射光・拡散光の累積の賜ですから、こういった測定方法が正解じゃないかしら?
そしていくつか測ったうち、各3パターンずつを比較してみました↓

青空のスペクトルと海中50cmのスペクトル、各3パターン

波長的には、僅か水深50cmと言えども黄色570nmあたりからガクンと減衰し始め、赤外線700nm以降は半分以下へ減衰が見られました。水深50cmと侮るなかれ!
しかし、逆に緑の波長以下のスペクトルはUV 400nmまで欠けること無くほぼ陸上並みのバランスで降り注いでおり、ここが水深3-5Mを目指したフルスペKR93SPと大きく違う点です。また、いくらフルスペが調光設定で水深0M相当まで狙えるとは言え、青チャンネルを絞った分、どうしても光量が半減しますから、超浅場SPSが要求する光量とは益々懸け離れてしまいます。上のグラフからも判るように、水深50cmでの光量は陸上の約半分~1/3程度はありますので、晴天時の照度が時には10万ルクス超となることから考えても、超浅場SPSを飼育するなら水面で3~5万ルクスは確保したいところです。僕がいつも「水面で3万ルクス・・・」と言ってるのはこうした理由からです。
とりあえず今はフルスペを2台並べる(汗)か、高演色系白色スポットを追加して凌いでもらってますが、いずれは超浅場向け水深0-3Mフルスペの開発も必要かなぁ。。。

最後に、水深50cmの世界で育まれる南紀のハナヤサイたちをどうぞ。
いずれも2008年に串本でタイドプールに手突っ込んで撮ったものです。古いね(笑)

自然下で観察すると判りますが、影の部分は普通に褐色だし、時には白化もあります。自然下だからと言って完璧ではありません。個体の素質・状態、光条件、水質、水流、水温、その他の自然条件が複雑に絡み合い、同じポイントで見られる同種間でさえ、色・形状に違いが生まれます。それを水槽でどーこーしようと言うのですから、なかなか一筋縄ではいかないのも頷けますね。

ちなみにハナヤサイの場合、赤色色素の形成には緑の波長と光強度ですが、さらなる紫の増強にはUV 400nmと光強度が、一方青の波長は褐色化を促します。これらは蛍光ではなく、例えば赤系光合成色素のフィコエリトリンが吸収スペクトルのピークを緑に持つこと、またアントシアニンの色揚げが紫外線によって促進されること、そして茶系のカロテノイドが青の波長バンドを利用していることに通ずると考えられます。てことは、よくある青だけたっぷりのLEDを当ててたらハナヤサイは茶色くなりますので、UVと白LED(中域補完)もお忘れ無く。また、メタハラなら6500Kが定番で、もっとも真っ赤っかにしやすいです。

あと、なぜ画像ではなく動画にしたかというと、浅場に降り注ぐ水面の振幅によるレンズ効果も見て欲しかったからです。このキラキラの光のカーテンが相対的な光量確保や光合成の促進に繋がっている可能性がありそうとか、あるいは反対にキラキラによって光強度の分散がなされて干潮時の水面直下の光障害が緩和されているかも知れないとか、逆にタイドプールなどのキラキラが無い環境では白化しやすいかも知れない、などの違いがあるかも知れません。動画の印象は如何でしょうか?
もし水槽で試すなら、雷モードが役に立ったりして?笑

以上、とりあえずハナヤサイなどの超浅場SPSが求める波長や光強度が理解できれば、今回のミッションは成功です♪

え?
赤の波長もそれなりに当たってるし利用してそう!ですって?
よく考えてみて。
赤く見えてる」と言うことは?

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