結果 Oh! Life

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記



20155月13

蛍光タンパクの補足:確立された技術

マリンアクアリウム エイジ 08:54
この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル 海洋雑学

GWは皆さんあちこち旅行に行かれたようで、裏山しぃ~裏飯ぃ~。。。
ちなみに僕のGWは映画三昧でしたょ。。。泣
まあ、寄生獣<完結編>は面白かったけど♪

蛍光タンパクって、既に確立された技術ですよ?

特にカラーレポートの公開以降の話ですが、

独自で蛍光タンパクの特性を発見して凄いですね!

とか、

個人で調べた蛍光タンパクの特性って正しいの?

など、そんなご意見は、、、

想定外ですっ♪キリッ(笑)

だって、蛍光タンパクなんて、いまさらの堅~い技術ですよ?

そう言えば、今まで紹介してきた蛍光タンパクの励起スペクトルも発光スペクトルも、それがサンプルや実測値に関わらず、肝心なこと書き忘れてたのかしら?
と言うことで、今回は前回の投稿への簡単な補足のための投稿です。

バイオイメージングの世界で取り扱われる蛍光タンパク

まず、今まで僕がご紹介してきた様々な蛍光タンパクについて、ここで初めて見られた方、他では見たことがなかった方、にはすみません。これらは僕が発見し、僕が提唱している、と言う大それたモノでは決してありません(汗)。僕のやってきたことは単に、既知の蛍光タンパクを実測データの検証から存在確認したに過ぎないのです。
ま、白色蛍光タンパクはいつか見つけたいと目論んでますが♪笑

はい。蛍光タンパクは、特に近年のバイオイメージングの世界では常識の存在です。
例えばちょっと探せば以下のような情報がゾロゾロと出てきます♪

1. The fluorescent Protein (FP)

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

2. Basic fluorescent proteins

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

3. Review: Lighting up cells: labelling proteins with fluorophores

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

4. Box 2 | Genetically-encoded fluorescent proteins used in mice

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

5. DNA2.0(DNA)社 Protein Paintbox™

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

6. Evrogen社 蛍光タンパク質ベクター

蛍光タンパクの励起発光スペクトル

* いずれも左が励起スペクトル、右が発光スペクトル
各サイトからグラフを拝借しました (一部見やすく加工)

いずれも代表的な蛍光タンパクの励起スペクトル(左)と発光スペクトル(右)です。
見ての通り、タイプ(発色)によりその励起スペクトルも発光スペクトルも大まかに決まったパターンがあり、それらは過去に僕が紹介してきた実測データとおよそ同じモノです。

そう、これらのタイプ・特性は、専門機関が取り扱っている確立された技術なのです。
そして、これらの蛍光タンパク商品の出所は、はい、そもそもサンゴ由来なんです♪
サンゴから抽出された蛍光タンパクを元に改良を加え、各分野で利用されているんです。
例えば、バイオイメージングの用途では、細胞間をどのようにタンパク質が移動しているか、励起波長を当てればその位置が一目瞭然、細胞を破壊することなく変移を捉えることが出来ちゃう、とても革命的なツールとして活用されています。

では、そもそもサンゴは何故蛍光タンパクを持っているのか?
それはこれまでにも何度も説明してきたとおりです。UV防御然り、波長補完然り。
最近では抗酸化作用を持つ事も判ってきました。
以下の投稿の熟読もオススメします。

  1. 新春♪オージースペクトル大公開! - 2015/1/11
  2. 蛍光タンパクのロジカルカラーマネジメント - 2015/02/13
  3. 論考1:サンゴと褐虫藻の問題提起 - 2015/2/19
  4. 論考2:サンゴのアミノ酸取り込みの意味 - 2015/2/20
  5. 論考3:サンゴのアミノ酸生合成 - 2015/2/21
  6. 論考4:サンゴの蛍光タンパクとアミノ酸 - 2015/2/22
  7. イチゴ先生の蛍光タンパク講座 - 2015/4/29

そうした蛍光タンパクを我々アクアリストは何故維持したいと考えるのか?

色彩の観賞のため?
もちろん必要な波長を当てないと発色しませんから観賞にもなりません。

サンゴの健康のため?
現時点では、それも正解と言えるレベルまで情報が出揃ってきたと言えるでしょう。

蛍光の発色に関する勘違い・疑問など

あ、その前によくある勘違い?疑問?を解決しておきましょう。

  • ブルー光を当てなくても、白色光だけでも蛍光グリーンは緑色に見えます!
    白色光にはブルー光が含まれています。
  • ブルー光を当てなくても、白色光だけでも蛍光レッドは赤色に見えます!
  • 蛍光ブルーにわざわざUV当てなくても、海ではブルーに見えてる!
    海は普通にUVが当たってるからこそ、蛍光ブルーは青く発色しているのです。
  • UV当てなくてもうちの蛍光タンパクは維持出来てます!
    蛍光グリーンや蛍光レッドは、ブルー光だけでも発色や維持は出来ます。しかし、蛍光ブルーや蛍光シアンは400-420nmがないと発色も弱く維持も困難です。
  • UV当てなくてもうちの蛍光ブルーは維持出来てます!
    それ、蛍光ブルーじゃなくて色素ブルーかと。蛍光ならギラギラしてます。
    あるいはT5でもActinic球を使えば蛍光ブルー衰退の歯止めは可能です。
  • 観賞時は見えないけど、UV当てればちゃんとグリーンに発光してますから!
    てことはUVリッチな自然下なら何もしなくてもグリーンに発色してるはずです。わざわざUV当てないとグリーンが出ないってことは、平常時の光環境にUVが足りてないってことです。要するに、それじゃ自然下での発色が観賞できてないってことです。
    もちろん、励起波長が不十分なせいで蛍光自体が衰退したことも含まれます。
  • そのうちストロベリーが赤だけになりました、スパが単色になりました、等
    だから言ったじゃないの。。。

蛍光タンパクは種類によって要求波長が異なります。そもそもシステム自体が、蛍光ブルーや蛍光シアンの存在を見落としているケースすらあります。また、そうした要求の異なる群をただ“蛍光タンパク”と一括りにしたり、それに対してアレが要る・要らない等と一緒くたに割り当ててしまうと、ある蛍光タンパクには当てはまっても別の蛍光タンパクには当てはまらない状況を生み出してしまいます。
「蛍光タンパクはUV当てたら光る」、みたいな曖昧で単純な認識は今日で捨て、

  • 蛍光ブルーBFPには → 400nm前後のUV光
  • 蛍光シアンCFPには → 400-420nmのUV光
  • 蛍光グリーンGFPには → 450-480nmのブルー光
  • 蛍光レッドRFPには → 480-520nmのシアン光

のように、それぞれの要求を今日から正しく認知しましょう。

蛍光タンパクの要求に対する応答方法

まず、上記に挙げた各種蛍光タンパクの励起スペクトルから以下のことが判ります。
蛍光タンパクの発光に必要となる波長範囲です。

蛍光タンパクの励起発光に必要な主な波長範囲

これは、実に単純明快な理由です。
それは、海中に最も多く届いている波長だからです。
海中では深度を増す毎に、UV(350nm以下)と(600nm以上)が減衰します。
さらに深くなると、UVは390nm以下、緑は520nm以上で大きく削られていきます。

黒潮域の海中スペクトル

結果、この390-520nmのブルーバンドが海中を支配しています。
必然的に、サンゴはこれらを最も多く浴び、これらの影響を強く受けています。
その結果が、UV防御であり、波長補完である訳です。

また、蛍光タンパクのタイプ(色)によって、その要求する波長帯域は異なります。

各蛍光タンパクの励起発光に必要な波長帯域

このことからも判るとおり、何故サンゴがそのような色彩を放っているのか?
すべてが必然なのです。
よって、その色彩を自然下と同じように発色させたいなら、当然ですが自然下と同じ必然を与えてやれば良いのです。それが各種蛍光タンパクの要求波長範囲なのです。そしてその必然を与え続けることが、蛍光タンパクの「サンゴにとっての必要性」の継続へと繋がり、結果色彩が維持されるのです。

フルスペのスペクトル理論は、この要求波長範囲を天然下のように与え続けることです。
また、T5蛍光灯でもActinic球を増やすことでシアン蛍光タンパク維持の可能性が見えてきます。また、レッド蛍光のためのシアン500nm帯域不足は、蛍光灯特有の突出した540nmのグリーン光が代用を果たします。それでも足りないならLEDスポットがあります。

蛍光タンパクの要求に応える人工光源の補完例

要するに、サンゴの蛍光タンパクの発色・維持は、既存の光化学に従うだけなのです。
それは最近流行のトリトンと同様、「水槽の水質環境を天然の海水成分に近づけよう」と言う理屈と同じことです。
きっと、そろそろ気付き始めた方も増えてきたはずです。

水質は執拗なくらい忠実に再現してきたのに、
なんで光環境・波長は無視してきたんだろう?

もちろん、サンゴの種類に合わせて、それで要求が満たされるなら良いと思います。
しかし、サンゴの要求を無視して不十分な環境を押しつけるのは、ただの虐待です。

蛍光タンパクの要求を無視した人工光源の例

ましてや科学を無視した根性論なんて、サンゴもアクアリストも必要としていないのです。

オマケ

現象には必ず理由がある。 (BGMはこちら)

現象には必ず理由がある

根拠の明確な理論に基づいた数多くの実践と成果。それをねじ曲げることなどできない。
もし覆したいなら、それ以上の根拠と理論、そしてその成果を証拠に示せば良いだけだ。
あるいは、そもそも否定したい理由が科学とは別にあるなら、一般消費者にとってこれほど迷惑な話はない。鬱憤? 遺恨? 販促? 実にくだらない。。。

科学に従うことは、実に簡単だ。
例えば、

石灰化に必要だからカルシウムを与える

今じゃすっかり常識となっている科学だ。
間違っても、カルシウム抜きで石灰化頑張ってみるぜ!なんて、もはや今更あり得ない。
それと同じ事が、蛍光タンパクでも判明しただけのこと。

蛍光タンパクに必要だから励起波長を与える

ただ、一般的な照明ならば、励起波長のうちブルー光は必ず満たされている
そのお陰で、蛍光グリーンや蛍光レッドは一般照明でも問題なく励起できる。
問題なのは、UV域400-420nmの欠如に対してだ。
そのせいで、蛍光ブルーや蛍光シアンは十分に励起することができない。
従って、さらに具体的に表現するなら、

シアン蛍光タンパクに必要だから400-420nmを与える
ブルー蛍光タンパクに必要だから400nmを与える

となる訳だ。
実にシンプルで明瞭な科学だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらのエントリーもどうぞ♪


コメントとトラックバック

コメント及びトラックバックはありません

コメントフォーム



コンテンツ

スペクトラ LEDスペクトラ解説