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紫外線LED:だにミドリイシ経過

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今回は、だにやんから頂いたミドリイシの経過報告です。
これらのミドリイシ片が我が家に来たのは11/30のことでしたが、長期に渡り輸送ストレスからの回復を待っていたため(ミドリイシC.は現在進行中)、正式にミドリイシ色揚げ実験の開始を案内したのは12/15でした。

さて、かれこれ一週間が経過しましたが、ミドリイシに変化は見られたのでしょうか?
でもその前に現在のテスト環境をご説明します。

2009/12/23現在のミドリイシ色揚げ実験の環境状況

テスト環境がたびたび変更になりすみません(汗)
先日届いたケントパパミドリイシの輸送ストレスの治療のため何卒ご理解ください。
結局、当初のランプ高さ15cmから、現在では倍の30cmとなっております。
しかもLeDio7と東芝は若干角度を前方へ向けて照度を調整しております。
それでも水面部の照度は左で約8,000lx、右で7,000lx程度ありますから、LEDの多灯によるクロス照度効果が如何に高いかお判りいただけると思います。
早くミドリイシが回復して、もっとランプを下げてガンガン照度を当てたいと思います♪

では、だにミドリイシの経過を。
まずは、だにミドリイシA.から。

だにやんミドリイシA.の変化

背景の壁の色が違って見えるのは、ランプの高さ変更により壁も照らされるようになったためです。また、パナソニックLEDでの撮影では、厳密なランプ位置が固定出来ていないため、写りに若干のコントラストの違いがありますがご容赦ください。撮影位置・角度も微妙に異なります(汗)
とは言え、カメラの設定は同じですので、個体の色彩の比較には問題ないでしょう。

LEDランプの演色も含めた環境光での色彩比較(上)では、あまり違って見えませんね。どちらも綺麗なバイオレットに見えます。もちろん、「これで色が揚がったぁ~♪」なんて浅はかな発言はいたしませんよ(汗)。そのために、太陽光相当の6,500Kのランプでも撮影している訳ですから。

脱線しますが、このことはしばしばアクアリストを混乱させます。
例えば、ブルー光が当たりブルーに着色されたサンゴを見ると、どうしても「わぁ、青く色が揚がりましたね♪」なんて思いがちです。しかし、これはあくまでも演色効果であり、サンゴ自体が青くなった訳ではありません。本来の色を知るには、水槽の照明を消し、部屋を明るくするか、自然光の元で観察すると良いでしょう。その上で且つ青いなら、それはれっきとした青いサンゴです(笑)
そういうことも踏まえて、ネット上の水槽写真を鵜呑みにせず、吟味すると良いでしょう。
(サンゴ自体の色を判断するなら、と言う意味です)

話を戻しますが、上のだにミドリイシA.の本来の色彩の変化が判りますか?
下の写真をよく見比べると、枝の先端にピンクっぽい着色が現れ始めているのが判ると思います。もちろんこの撮影ではUVランプは点けていません。
このことから、恐らくUVの照射によってピンク(と言うかバイオレットかな)の色素が優位になり始めているのだろうと推測できます。
参考までに、ブルーベーリーのアントシアニンと言う紫色の色素は、紫外線により発色が促進されるそうです(参考:光放射と生物 - パナソニック電工 1P参照)。
このミドリイシにも、きっとこれと同様の現象が起きているのだろうと思われます。
わずか一週間でこの効果ですから、今後が益々楽しみです♪
そうそう。根元の傷も塞がり始めてますよ。

次に、だにミドリイシB.の経過です。

だにやんミドリイシB.の変化

こちらは東芝LED改アクアブルーだけなので、A.のようなピンク乗りはハッキリとは確認できません。しかし、照明を高くしたことで左右からのUV(左UV3W、右LeDio7+UV)の照射範囲に入った可能性もあり、もしかしたらその恩恵が出始める可能性があります。今も良く見ると、少しピンクが乗ってるような乗ってないような。。。汗
ま、これはもう少し顕著になったら、またご報告します。

それよりも、枝が全体的に太くなってきました。
左下の枝の先端の剥げも、綺麗に修復されました。
また、最近ではポリプも徐々に大きく広がり始めました♪
輸送ストレス・光障害は、もう乗り切ったと見て良いでしょう。
ただ、ヤドカリやヨコエビなど撹拌生物が多いため、どうしてもこのように砂に埋没していきます(曝)。なんか対策せなアカンなぁ。。。

とりあえず、今のところUV-LEDを使う価値はアリかな?と言うところです。
引き続きレポートしていきますね。

そうそう。応援市場に出してるUVサンプルモデル、あとラスト一台ですよぉ。
時代を先取りしたい方、これを逃す手は無いですよぉ(笑)

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紫外線LED:渇虫藻3、新ミドリイシ状況

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前回に引き続き渇虫藻の観察と、そしてケントパパミドリイシの状況報告です。

まず、ミドリイシから離脱した渇虫藻の48時間後の様子を見てみました。
渇虫藻は相変わらず動いてませんし、やはりどんどん小さくなってるような?
しかし、その中に大量のピコピコを発見!?
これが自由期の渇虫藻なのか? (下図:候補A.)

あと、たまたま水槽のミドリイシの表面をスポイトで吸ったら、また別のピコピコを捉えたので、併せて紹介します (下図:候補B.)

48時間後の渇虫藻

うーん。。。画像だとサッパリ伝わらん(汗)
と言う訳で、いつもの動画です。

候補A.はあまりにも小さいし色も透明なので、何かの細菌と考えたほうが無難かしら。
候補B.も色と形は自由期の渇虫藻のイメージに近いけど、ゾウリムシ(繊毛虫)だと言われたらそれまで(曝)

うむ。やはりこれは無謀な目論見だったか。。。残念。
明日からはミドリイシ実験の方に注力しよう(汗)

次に、ケントパパミドリイシの現状報告。
輸送時の擦れが原因か、僕の接着時の扱いが悪かったか、各個体とも出っ張った枝の外縁が剥げて痛々しいです(汗)
とは言え、出っ張っていない枝は損傷が見られないので、あくまでもこの剥げは接触ストレスによるものだろう。どの個体を見ても、出っ張りと言う出っ張りすべてが剥げてるので、よほどこの娘はお肌がデリケートなのか、あるいは到着時の水温が15℃だったのが災いしてるのか、いずれにしても早く治って欲しいところです。

ケントパパミドリイシのポリプ

それにしても綺麗だわ。。。ため息が出ます(笑)
まさかポリプまでバイオレットだとは思わなかった♪
ケントパパ、マジで凄い!
そしてサンクスです!!!

んで、少し過保護に、またまた照明の高さを調整しました。今度は水面30cmです。
傷が治ったらガンガンいくよ~♪

で、今更ながらあることに気づいたのですが、照明の高さを調整したあと、

LeDio7で30cmなら5,000lxほどかぁ。。。

と思って水面の照度を測ったら、なんと10,000lxオーバーっ!?
なぜかと言うと・・・はい、多灯してるから(曝)
ガーン。。。
となると、今30cmで10,000lxオーバーってことは、当初15cmの時は・・・ガクガクブルブル。
道理でだにやんスギノキも溶ける訳か。。。
思わず細川たかしを口ずさんだわ(汗)

なので、しばらくはランプの角度も少し外側へ傾けて、照度調整を行うことにしました。
現在、ランプ直下の水面部でおよそ8,000lxまでに抑えました。
って、まだ8,000lxもあんのか。。。LEDって恐ろしい(汗)
こりゃ、スギノキも絶対イケルわね♪

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紫外線LED:渇虫藻2

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またまた紫外線とは直接関係ありませんが、前回もだにやんのスギノキミドリイシの渇虫藻ネタをご紹介したので、今回はケントパパのミドリイシの渇虫藻をネタにします。

ま、渇虫藻ってなんか地味だし、いまいち関心は薄いと思いますけど、ミドリイシの色揚げには無視できない存在なので、なるべく皆さんには興味を持って欲しいと思いますです。

まず、ケントパパから届いたミドリイシをバケツに入れていた時の様子。

バケツで水温合わせ&曝気中の様子

なんか根っこからサビ出てますねぇ(笑)
果たしてこれが渇虫藻なのか?
さあ、顕鏡してみましょう♪

ケントパパのミドリイシから流出した渇虫藻

おおお。前回のだにやん渇虫藻(便宜的にこう呼ぶ)と同じだぁ~。
よく見ると、渇虫藻の中になんか核みたいなものも見えますね。
渇虫藻が細菌やラン藻とは異なる真核生物の仲間だと言うことが判ります。

ちなみに、前回のだにやん渇虫藻との比較です。

だにやん渇虫藻とケントパパ渇虫藻

左がだにやん渇虫藻、右がケントパパ渇虫藻です。
うーん。。。所詮、渇虫藻は渇虫藻か。見た目同じやん。

ちなみに渇虫藻は1属1種で、学名はシンビオディニウム・ミクロアドリアチカムSymbiodinium microadriaticum Freudenthal, 1962)とされてきました。
しかし、近年の18SrDNA解析により現在では10種程度に分類され、研究分野ではA~Hのクレード(単系統群)に分けて扱われているようです。
(ほとんどが学名無しのSymbiodinium sp.)
また、イシサンゴ類に共生するクレードはA,B,C,D,Fの5タイプとのことです。
さらに、サンゴに共生する褐虫藻は1種のみとは限らず、むしろ複数種の褐虫藻と共生し、環境に適応しているようです。
ちなみに属名の SYMBIO とは共生を意味します。もちろん、共生藻が由来でしょうね。

参考文献:
海洋微生物と共生/石田祐三郎著/成山堂書店
オーストラリアの温帯域のミドリイシと共生する褐虫藻の遺伝的多様性/安部真理子/琉球大学

ちょい脱線しましたが、実はバケツにはミドリイシから流出した渇虫藻をそのまま残してあり、時間経過による変化を見ようと目論んでいました。ちなみにこの渇虫藻群はミドリイシの粘液に絡んでいるため、定位置に付着しています。だから後々顕鏡しやすいのです。

さて、これで何を調べるのかと言うと、サンゴから離脱した褐虫藻は、果たして自由生活モードに切り替わるのかどうか?です。
基本的に渇虫藻はミドリイシとの共生時には鞭毛の無い球体で存在していますが、ひとたびサンゴの体外に放出されると卵型に変形し本来持っていた鞭毛を発現させて自由生活に移ると言われています。ま、元々が渦鞭毛藻の仲間ですから、それは当然と言えば当然です。で、それを確認したかったと言う訳です。

さて、あれから24時間が経過しましたが、果たして渇虫藻は走り回ってるのでしょうか?

バケツで24時間経過後の渇虫藻と、それを食べて満腹のゾウリムシ

ガーン!?
ゾウリムシが食い散らかしてる(曝)
ちなみにこのゾウリムシは、ケントパパ亭からの使者です(汗)
ホント、この子はどこにでもいますね。

ま、まだ相当数の渇虫藻が粘液に絡んで残ってるので当面大丈夫だと思いますが、本日顕鏡したところ、鞭毛も見えないし、まったく動いてません。それどころか、いくつかの個体に収縮が見られます。ミドリイシからの栄養供給が途絶えて、餓死寸前なのかしら?
あるいは、ここに残ったのは全てダメージ個体で、元気なのは既に走り去った後なのか?
それとも、自由期に移るまで少し時間が掛かるのかな?
そういえば光を与えてなかったので、とりあえず今日は照明を当ててみよう。
で、今日も見てみます。

おまけ。満腹のゾウリムシ(笑)

あり?
よく見たら、ゾウリムシの周りに一匹見慣れない動きの子が走り回ってます。
この動きは過去のVMワラワラ実験でも見たことのないものです。
まさかこれが自由期の褐虫藻???
そう言われてみれば卵型・・・。
でも色がまったく違うよなぁ。。。

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