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波長を作るということ

マリンアクアリウム エイジ 09:29
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余興というか伏線というか、軽い暇つぶしネタです。

カラーフィルムに光を通しても、「波長を作る出す」ことはできません。
光源に含まれる波長のうち、フィルムの色以外の波長が減光されるだけです。
もっと判りやすく言えば、フィルムの色の光だけが通過する、と言えます。
赤いフィルムに青い光を当てても、赤い光は出てきません。

でも、車のストップランプは、白い球を入れたら赤い光が出ますよね?
なぜ、白い光が赤い光に変換されるのか?
それは白い光に赤い波長が含まれているからです。
白い光は主に青+緑+赤の波長で構成されているため、ストップランプの赤色のカバーによって青と緑がカットされ、赤い光だけが通過するから赤く光って見えるのです。
こーゆーのは「フィルター」と言います。

では、波長を作り出すにはどーしたら良いのか?
手っ取り早く波長を作るには、お馴染みの「蛍光」があります。
ちょっとした蛍光実験をご紹介します。

蛍光スペクトル測定

まず、370nmのUV LED素子を測ってみると、このようなスペクトルが観察できます。

スペクトル 370nm

続いて、蛍光紙に370nmのUV光を当てると、370nmの波長を励起源とした蛍光現象により別の波長帯域が発生するため、それらがミックスされたスペクトルが観察できます。

スペクトル 370nm+蛍光紙

この場合、400-500nmに現れたブルー光の帯域が、蛍光紙による蛍光発光です。

そして、蛍光紙の上に蛍光オレンジのフィルムを置いて370nmのUV光を照射した場合の反射スペクトルを測定すると、さらに面白いスペクトルが観察できます。

スペクトル 370nm+蛍光紙+蛍光オレンジ

さきほどの蛍光紙の蛍光以外に、580-620nmにもオレンジ光の帯域が発生しました。

光源に特定の波長だけを用いて、光源の波長以外のいくつかの波長を得る。
これが「波長を作る」ということです。

スペクトル比較

注) 励起光により蛍光を得る際、元の励起光は大きく減衰します。
例えば上のグラフでは、比較のため370nmのみ極端に出力を絞って比較しているため、370nmと370nm+蛍光紙のスペクトルの最大値は倍ほどしか違いませんが、本当は5倍以上の開きがあります。
一般の白色LEDでも、蛍光体さえ無ければ、青のピークは何倍もの強度があります。また、蛍光への変換ロスもあるため、変換後の光エネルギーは必ず元の励起光よりも小さくなります。(「照度」は比視感度のトリックによって大きくなりますが)
仮に、青のLEDチップ単体では500mW/20lmあったとしても、これに蛍光体を被せ白色LEDにすると、例え照度は100lmに増えても、光エネルギー自体は正味300-400mW程度まで落ちるでしょう(適当)

比視感度については、過去に色々書いてると思うので、探してみてください(手抜き)
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