イソギンチャクを殻に乗せることで有名なヤドカリです。また、殻を引っ越す際には、それらのイソギンチャクを一体残らず新たな殻へ移し替えるのですが、その仕草がとても一生懸命で見ていて健気に思えます。
また本種は非常に大型になる種で、好奇心も旺盛で色々とやんちゃもしますが、その分水槽でも慣れやすく、エサをねだる様はまさにペットの感覚にも似ています。
但し、本種に限らずヤドカリ属はとても摂食量が多いため、水槽での飼育は栄養不足による衰弱や脱皮の失敗に注意する必要があります。
自然下では迂闊に触るとベニヒモイソギンチャクが槍糸と呼ばれるピンクの糸をたくさん出すのでご注意ください。
基本的にヤドカリ属のヤドカリは皆とても大型になるものが多いのですが、この種も例外なく巨大化DNAを持っています。しかも成長スピードが異常に早いようで、以前幼稚体を飼育する機会があったのですが、他属のヤドカリが一回り大きくなった頃には、本種は体積比で10倍近くまで成長しました。
普段は比較的深い水深で生活していますが、希にタイドプールで幼体を見ることもあります。
この種の幼稚体は、一見するとオイランヤドカリと酷似しています。
オイランヤドカリととても似ていますが、こちらの方が色彩は明るく、また眼柄は鮮やかなピンク、複眼はイエローです。良く見ると各関節がピンクである事も見分けるための重要なポイントですね。
越前のダイビングポイントでもこの種が確認される甲殻類にエントリーしているようですが、私はまだ見つけていません。但し本種の色彩と非常に良く似た他属のベニホンヤドカリというヤドカリが越前では多数見受けられるので、もしかしたら見間違え?のような気もします。
本種は同属の中でもあまり大型にはならないようです。
本種はイモガイ等の空き殻を好んで背負うという、同属では希な性質を持ちますが、理由はベニワモンヤドカリやイモガイヨコバサミと同様、平たい体型によるものです。
また、非常に特徴的なのが「ブルーのひざパッド」でしょう。しかし本種はとても臆病な性格で、一度殻に隠れるとなかなか顔を出しません。ようやく少し歩脚が出てきたなと思ったら、その段階ではオイランヤドカリと見分けがつきません。本種の確認は少なくともひざパッドが見える位置まで殻から出てくるのをひたすら待つ必要があります。
本州南部では比較的よく見掛ける種です。通常は本種も少し深いポイントで生活していますが、希にタイドプールに入る事もあります。岩礁の周辺を少し潜ると、ベニワモンヤドカリやアオボシヤドカリよりも、かなりの数が見られるでしょう。
また本種には色彩変移がいくつか存在し、全体的に茶褐色でひざパッドが赤いものが一般的ですが、中には全身赤いものや黒いものも見受けられます。この色彩変移についてはまだ詳細は判っていません。
本種は沖縄便で入荷したものですが、色彩を除けば一見するとオイランヤドカリにしか見えません。しかし本種はとても鮮やかなオレンジ色をしており、厳密な鉗脚の形状がオイランヤドカリのそれとは異なって見えますし、専門の先生の写真鑑定でもどうやら新種の可能性がある、との事でした。しかし他に例がない訳ではなく、現地ではたまに見掛けることがあるそうです。現地で見つけた方は是非、標本を専門機関へお送り頂きたいところです。
本データベースの作成にあたり、千葉県立中央博物館動物学研究科 駒井智幸 先生より多くの助言を頂きました
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